20170515
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新販路開拓の決め手越境ECで攻める◆1◆北澤企画事務所(東京都文京区)海外サイトは国内と別物低コストでの認知向上に苦心新通信技術活用の提案募集中部でIoT事業創出KDDI、中小機構中部など4者国内EC市場 兆円突破2016年 中国向けは1兆円超経産省調べイーベイ・ジャパンと相互協力中小企業の海外展開支援中小機構医療機器分野で件の商談タイ8社、日本社が参加中小機構・タイ投資委などタイビジネス商談会中小企業白書・小規模企業白書を閣議決定 (面)割超が人手不足感・中小機構緊急アンケート (面)地域活性化パートナー連絡会議を開催・中小機構 (面)越境ECセミナーを開催・TKC全国会と中小機構 (面)【企業概要】▽代表取締役社長=松渕健二氏▽本社=東京都文京区後楽22(☎03・6801・5523)▽設立=2008(平成)年9月▽従業員数=5人▽事業内容=酒類販売促進の企画・制作・運営、バーツールの企画・開発・販売、バー関連書籍の制作など▽URL=https://www.bar-times.com/「カクテルシェーカーだけで100種類以上。国内屈指の品ぞろえ」という丹羽氏(本社内にあるショールームで) 人口減少による国内消費市場の縮小期が到来する。購買者が減る国内から旺盛な消費意欲が期待できる東南アジアなど、海外に目を向ける必要性は高まる一方だ。とはいえ、中小企業・小規模事業者にとって実店舗を海外に設けることは容易ではない。そこで威力を発揮するのがEC(電子商取引)。新販路開拓の決め手となる越境ECで着実な成果を挙げている事業者の取り組みを通し、越境EC成功への秘訣を探る。 洋酒メーカーを中心にした販促プロモーションを手がけていた北澤企画事務所が、バーテンダー向けにシェーカーやメジャーカップ(酒用計量カップ)などバーツールの通販を始めたのが2013年。「洋食器専門店は多いが、高品質で豊富な品ぞろえのバーツール専門店は国内ではほとんど見当たらない。この現状から需要が期待できると考え通販サイトを立ち上げた」と丹羽克久マーケティング・ディレクターは説明する。 年に本社を移転し、事務所と併設する実店舗で販売も行っている。ただ、ビル4階にショールームがあることは、外からは見えない。それでも訪れる外国人は少なくない。 販促プロモーションを企画、運営してきた経験から、バーツールやグラスなどのメーカーと取引があり、製品の目利き力も養ってきた。それだけに仕入れる国産商品はどこに出しても誇れる逸品ばかり。まずはショッピングサイトを立ち上げ、国内大手モールへの出店を開始した。 「海外からの注文や問い合わせが入ってくるようになり、これは驚きだった。米国や台湾などは日本製バーツールを高く評価しており、海外からサイトを探しに来る顧客が少なくないことが分かった。それならば、海外向けにも展開できると思い越境ECに挑戦することを決断した」と丹羽氏は語る。国内向けからわずか半年を経過したばかりの時期だったという。 国内向けは軌道に乗りつつあり、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)によるサイトへの認知度アップなど、一定のノウハウも蓄積できていた。この自負が海外需要を取り込む方針を後押ししたともいえる。「商品説明などを英語に翻訳してASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)サービスによる海外向けサイトを構築した」。これでうまくいくと考えたが、現実は違っていた。 国内向けサイトを単純にコピーしただけでは海外で通用しないことを痛感、新たに海外向けサイトを立ち上げる必要があった。だが「コストがネックだった」と丹羽氏は振り返る。中小機構が実施した越境ECマーケティング支援事業を知り、昨年6月末の第1期補助金申請に応募した。これは、海外市場向けに構築するECサイトのコンテンツ作成、翻訳費用などの一部を補助する支援策。 この採択を得て海外で好まれるスタイルを重視した英文サイトを構築した。サイトの浸透も海外向けにSNSで案内広告を出す工夫で、徐々に注文が入り始める。「現在はEC売上全体の2、3割を海外が占めるようになった」という。国別では米国、台湾、香港からが多く、英国、フランス、東南アジア諸国など広がりを見せている。 それでもまだ課題は残る。SNSによる浸透だけでは限定的だからだ。需要は多くあるが、まだ十分に知られていない。「もっと幅広い層にアピールできる取り組みを検討している。低コストという制約はあるが、今後は多様な展開にチャレンジしたい」と丹羽氏は話す。 積極的なPRを通して、〝待ち〟ではなく〝攻める〟越境ECを目指す方針だ。(1)第1192号平成29年5月15日(月曜日)〈毎月、日発行〉 中小機構は4月日、タイ投資委員会、タイ工業省と共催し、東京・有明の東京ビッグサイトで開催中の医療機器展示会「MEDTEC Japan2017」内で「タイビジネス商談会」を開催した。タイから医療機器分野に参入する自動車、電機・電子などの部品メーカー8社の経営幹部らが参加。タイでの事業展開や生産委託を検討する日本の中小企業社と件の商談を行った。中小機構は最適なマッチングを支援し、タイ投資委員会は日本企業の相談に直接対応できるコーナーを設置。商談企業へ多面的に配慮し、円滑な運営と成果を見いだす商談会となった。 中小機構は4月日、世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス「eBay(イーベイ)」の日本法人、イーベイ・ジャパンと、全国の中小企業の海外展開を支援する相互協力に関する覚書を締結した。イーベイのサイト内に中小機構の特設サイトを設置する。 イーベイ・ジャパンは昨年8月から、京都の伝統工芸品の製造・小売業者を支援する「小売・製造業者・海外展開プロジェクト」を実施。この中で中小機構が実施する越境EC(電子商取引)の啓発などで協力している。 今回、覚書に基づいて支援対象を全国規模に広げるとともに、「eBaycom」サイトに、中小機構が実施している販路開拓支援プロジェクト「Rin crossing」(リン クロッシング)の特設サイトを設置。リン クロッシング登録メーカーの商品を掲載、販売を推進していく。 リン クロッシングは、マッチングサイトや商談会・展示会を通じて、全国各地で地域資源を活かしたモノづくりに取り組むメーカーと、新たな市場を創り出す商品を求めるバイヤーとをつなぐ販路開拓支援事業。 KDDI、中部電力、シスコシステムズ、中小機構中部本部は4月日、中部エリアで中小企業の事業創出を目的としたIoT(モノのインターネット)ビジネスパートナーの募集を同日から開始すると発表した。募集期間は9月日まで。応募対象は中小企業、中小企業支援機関、業界団体などで、中部エリア以外からの応募も可能としている。 今回の連携は、省電力で広範な通信範囲が特長のIoT向け無線通信技術「LPWAネットワーク」を活用したサービス、ビジネスアイデア、システムの事業創出企画を募集し、採用された企業と共同で実証実験を行う。 KDDIと中部電力は、応募があったアイデアや技術に最適なLPWAネットワーク環境を構築。シスコシステムズは同ネットワークの技術支援を担い、中小機構中部は同機構が運営するWebマッチングサイト「J―GoodTech」(ジェグテック)登録企業への周知などを通し、中小企業の活性化に資する新たな価値創出を支援する。 KDDI、中部電力、中小機構中部は、応募検討企業への説明会として6月日、名古屋市のルーセントタワーで「LPWA活用サービス事業創出イベント」を開催する。参加申し込みは専用サイト(https://msls.kddi.ne.jp/lpwa/)から。 経済産業省が公表したEC(電子商取引)に関する市場調査によると、2016年の国内BC(消費者向け)EC市場規模は、前年比9・9%増の・1兆円に拡大した。物販系分野のEC化率は0・㌽上昇して5・%。日米中の越境ECでは、日本からの中国消費者向けが初めて1兆円を超えた。 この調査は、1998年度から毎年実施し、回目。今回はEC市場動向や利用者実態、国内の消費者向け、企業間取引に加え、国内の個人間EC、消費者向け越境ECも調べた。 年の消費者向け市場の内訳は、物販系が前年比・6%増の8兆億円、サービス系が同9・2%増の5兆3532億円、デジタル系が同8・9%増の1兆7782億円。とくに物販系分野のスマートフォン経由の市場規模は同・7%増の2兆5559億円、スマホ比率は同4・5㌽上昇して・9%に達した。 国内のBB(企業間取引)市場は同1・3%増の291兆170億円で、EC化率は1・0㌽上昇して・3%。堅調だったのは食品、輸送用機械、電気・情報関連機器など。 近年、ECチャンネルとして急拡大していることを踏まえて、初めて調査した個人間取引の推定市場規模は、ネットオークションが1兆849億円。このうち、BB、BCを除く個人間取引は3458億円。また、フリーマーケットアプリ市場は3052億円と推計した。 一方、日本・米国・中国各国間の越境EC市場は、日本の米国からの購入額は同7・5%増の2170億円、中国からが同7・9%増の226億円、合計で同7・5%増の2396億円。米国の日本からの購入額は同・4%増の6156億円、中国からの購入額は同・5%増の4259億円、計・2%増の1兆415億円。 中国の日本からの購入額は同・3%増の1兆366億円と1兆円を突破。米国からの購入額は・7%増の1兆1371億円で、計・6%増の2兆1737億円と高い伸びを示した。 中小機構は、駐日タイ大使館工業部と連携し、日本の中小企業との業務提携や生産委託などを求めるタイ企業との商談・交流プログラムを実施している。その一環として、医療機器製造などに参入した部品メーカー8社が来日し、日本企業とのビジネスマッチングを行う場を設定した。 タイの自動車部品メーカーは高度な技術力を有しており、将来性が見込め、生産設備の流用が可能な医療機器分野の部品製造に着目。先進的な技術を持つ日本の中小企業からの発注機会を希望している。 商談会のテーブルには、タイ8社とチュラーロンコーン大学工学部、タイ投資委員会の本部産業連携ユニットが加わり、1社分の持ち時間で活発な商談と相談が行われた=写真。各テーブルには必要に応じて通訳が付き、スムーズな話し合いができた。 高圧蒸気滅菌器、吸引器など各種医療機器の設計開発、製造、販売を手がける富士医療測器(東京都足立区)は、売上高の8割が海外という輸出型企業。各国に販売代理店があり、今回の商談目的は自社製品に使用する部品製造の可能性を探ること。中小機構の国際化支援アドバイザーから商談会開催を聞き参加した。 専務取締役の山﨑隆次氏は「国内メーカーが供給する部品価格が高騰しており、この状態が続くと製品価格への影響が必至。作ってほしい部品を示し希望金額を提示した。2社と商談し、いい感触を得た」と話した。 パッド印刷、ホットスタンプ印刷など特殊印刷に使用する印刷資材を製造、販売する特殊阿部製版所(同江東区)は、タイ国内での販路開拓を目指し、4社のタイ企業と商談した。医療機器関連では、注射器のメモリや薬を包むカプセルへの印字に使うシリコンパッドなどの資材がある。タイには2014年に製造拠点を設けているが、同国経済の発展を見込み新たな販路を探すため商談会に参加。4社と精力的に話し合った。 国際事業開発部の服部侑馬氏は「ターゲットは全世界だが、タイを重視している。まだ情報不足なので、それを補うことも参加目的の一つ。特殊な技術なので説明は難しいが、興味を抱いてくれたと感じる。今回をきっかけとしてビジネスへとつなげていきたい」と語った。 今回の商談会は、4月~の3日間にわたり開催された医療機器製造、設計に関するアジア最大級の展示会「MEDTEC Japan2017」(主催・UBMジャパン)の会場内で行われた。同展の出展者数は550社・団体で、会期中の来場者数は3万3000人だった。商談会に参加したタイ企業も出展していることから、日本企業は商談後にタイ企業のブースで製品・技術を見ることができた。

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