20170415
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次代担うベンチャーインキュベーション施設から飛躍◆1◆新発想でエネルギー創造「特許技術しか商品化しない」大学・県・市と連携しソフト支援SFCIVチーフIM 中井 彰人氏音力発電(神奈川県藤沢市)新たなチャンスを自ら掴め3法認定事業者社が交流中小機構四国中小機構四  国「四国逸品すとーりー」作成3法認定事業者の商品紹介産業振興の立案人材を育成第9回「地域産業振興講座」修了式中企庁歳目安に準備を事業承継パンフ作成インフォメーション 私はメガバンク勤務を経て、昨年、慶應藤沢イノベーションビレッジ(SFC―IV)のインキュベーションマネージャー(IM)に就任しました。私のほかに、慶應義塾大学から1人、湘南産業振興財団から1人、計3人のIMで入居企業を支援しています。 SFC―IVの入居企業は、慶應義塾大学発のIT(情報技術)系ベンチャーのほか、大手企業をスピンアウトして起業した研究開発型企業、NPOなど社会課題解決型企業が多いのが特徴です。 もうひとつの特徴は、1階のコワーキングスペースを、慶應義塾大学の関連団体である「SFCフォーラム」が運営し、学生のプロジェクト支援、アントレプレナーシップの醸成のために活動していることです。 IMも学生向けのセミナーを開催したり、創業の相談に乗ったりしており、施設に学生が活気を運んできてくれます。 2017年度は、大学、県、市とより連携を強化してソフト支援を実施していく計画です。(談) 音力発電 ▽所在地=神奈川県藤沢市湘南台1―1―6、湘南台駅前クリニックビル▽代表取締役=速水浩平氏▽設立=2006年9月▽事業内容=音力・振動力発電、その他エネルギーハーべスティング技術の研究開発・コンサルティング・販売など▽資本金=8940万円▽従業員数=6人▽☎0466・53・8788 慶應藤沢イノベーションビレッジ(SFC―IV) ▽所在地=神奈川県藤沢市遠藤4489―105▽開設=2006年2月▽2階建て延べ床面積1470平方㍍▽居室=室(・平方㍍から・平方㍍、シェアードオフィス除く)新オフィスの前で発電床を手にする速水氏 「エネルギーのハーべスティング(刈り取る)が当社のコンセプト。世の中には未利用エネルギーがあふれており、新しい発想で技術開発していく」 こう語るのは、音力発電の速はや水みず浩平代表取締役。同社は社名の通り、音(音波)や振動などで発電する技術を開発するベンチャー。これまでに発電床、振力電池、振子型振動力発電装置などの商品を生み出している。音声発電機も試作機を開発済み。なかでも、創業時から販売し、現在でも主力商品となっているのが発電床だ。 これは、人が歩行したり、車が走行したりする際に床に与える振動エネルギーを電気に変換する発電機。圧力を加えると電圧が発生する電子部品「圧電素子」と発電基板で構成するシステム。発電量は歩行の場合、1秒当たり2㍉㍗と小さいものの、一歩踏むと300~400個の高輝度LED(発光ダイオード)を瞬間的に発光できる。 2006年の創業の翌年には大手文具メーカーがオフィスフロアのLED誘導灯として購入。「これが話題となり」(速水氏)、その後はごみ処理やスポーツなどの公共施設、商業施設にも導入され「建築業界では知られるようになった」。現在では外部に量産発注し、コスト削減を図っている。年度のJICA(国際協力機構)のODA(政府開発援助)普及・実証事業として、ブラジル・クリチバ市の自転車専用道路にも採用されるなど、海外でも活躍している。 速水氏が音や振動で発電できないかと考えたのは、小学校時代にさかのぼるという。理科の授業でモーターと発電の仕組みを学び、「音で発電できないか」と考えた。その想いは慶應義塾大学環境情報学部に入学しても続き、「2年生のころから本格的な研究を始めた」。最初はうまくいかなかったが、半年ほどで「圧電素子を利用することがブレークスルーとなった」。 「当初から大学発ベンチャーを狙っていた」速水氏は年の卒業と同時に、中小機構が慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(神奈川県藤沢市)内に開所したばかりのインキュベーション施設「慶應藤沢イノベーションビレッジ」(SFC―IV)に入居し「創業のイロハから教わるなど大変助かった」。早くも同年9月には創業。公的施設に入居したことで、周囲から一定の信頼を得られたことも効果的だったという。今年1月には事業が軌道に乗ったことなどから同施設を〝卒業〟、藤沢市内にオフィスを移転したばかり。 速水氏はIoT(モノのインターネット)や既存の再生可能エネルギーのレベルアップにも取り組む。IoTでは、圧電素子の発電量を上げて無線送信の電源とする。すでに日本バレーボール協会と連携。試合会場内の数カ所のスペースに無線モジュールを組み込んだ発電床を設置し、来場者が床を踏むとスマートフォンで日本代表選手の画像が見られるほか、有名選手とAR(拡張現実)写真を撮影できるアプリを実用化した。水族館や美術館でも同様のシステムを実現。「他のスポーツ向けも開発中」だ。無線送信距離を伸ばせば、獣害などに悩む農地でも中継器なしの見張りシステムが可能だ。 再生可能エネルギーでは、水力、風力、波力などの開発に挑む。設置コストを半減させた船型小水力発電装置や、効率を3割向上させた風誘導型風車などを開発済み。今後は「波力に力を入れる」としている。日本は海洋エネルギーの宝庫だが、台風や海洋生物対策などの制約から、波力発電はいまだ実験段階。速水氏は「波力を利用した揚水発電など新しい発想で挑む」という。同社の取引先の%は大手企業で、そのうちの複数の企業から出資を得ており、これらパートナーとも連携する考え。 「特許技術しか商品化しない」と独自の発想に自信を持つ速水氏。新しいアイデアで挑むのがベンチャーの役割とし、IoT、エネルギー分野などで新しい風を吹き込み続けそうだ。 中小機構は2001年からインキュベーション施設の運営を始め、現在では全国カ所に展開し、ベンチャー企業育成に力を入れている。いずれの施設にも高い技術力やユニークな製品・サービスを持つ企業が入居。また、ここを〝巣立って〟飛躍期を迎える企業も多い。これら次代を担うベンチャーの今をリポートする。(4)第1190号平成29年4月15日(土曜日)■TIPS、「オンナの人生」語るイベント、5月日に開催 中小機構のビジネス創発拠点TIPS(東京・丸の内)は5月日、「『ちょっと先のわたし』に会う初夏の夜。オンナの人生、語り合っちゃおう。~一夜限定初夏のスナック開店」と題したイベントを女性限定で開催する。 ファシリテーターに経営コンサルタントで、チャレンジ&グロー代表取締役の小柴恵美子氏を迎え、参加者の価値観チェック、妄想、アイデアなどを話し合いながら、仕事や生き方、将来などを考える。 時間は午後7時~9時分。参加費は1000円。詳細と申し込みはホームページ(http://tips.smrj.go.jp/events/20170511snackforladyonly)から。■ビジネスト、「IoTグローバル最新動向とシリコンバレーの人達」セミナーを4月日に開催 中小機構関東本部の起業支援拠点BusiNest(ビジネスト)は4月日、「IoTグローバル最新動向とシリコンバレーのイノベーションエコシステムを支える人達」をテーマにセミナーを開催する。 2022年までの未来予測に基づいたグローバルなIoTとシリコンバレーの最新動向を実業家・教育者・イノベーションプロバイダーの森若幸次郎氏が解説する。 場所は東京・丸の内のTOKYO創業ステーション。時間は午後6時分から9時。受講料無料。申し込みはビジネストのホームページ(http://businest.smrj.go.jp/)イベント一覧から。 中小機構四国本部は、平成年度版の商品紹介カタログ「四国逸品すとーりー」を作成、配布を開始した。四国地域内の地域資源活用、農商工連携、新連携の3法認定事業者社が開発した商品・サービスを紹介している。 同カタログは認定事業者の販路開拓支援の一環として、中小機構四国が定期的に更新、発行している。スイーツ、調味料、加工品などの「食品編」、雑貨、アメニティ、観光サービスなどの「非食品編」の2種類に分けて制作してきたシリーズとして4回目。 新商品や新サービスの特徴がひと目で伝わるよう利用シーンを想起させる写真やアイコンを活用したポイントアピールなど、買い手であるバイヤーや仕入れ担当者の関心を呼ぶ内容としている。 今回の食品編は社(ページ)、非食品編は社(ページ)で、いずれもA4判。全国の百貨店やスーパー、専門店、卸売・商社、通販会社などのバイヤー、ホテルや施設、飲食店などの仕入れ担当者などに配布するほか、中小機構四国のウェブサイトでも閲覧できる。 中小機構四国本部は3月日、愛媛県四国中央市のホテルで、四国地域の新連携・地域資源活用・農商工連携事業の3法認定事業者社が一堂に会する交流会を開催した。各認定事業計画に沿った現在の取り組み状況と成果品を発表したほか、認定事業者同士が自由に相互交流。情報交換などを通して新商品開発上の悩みや経営課題の解決策を探り合うことにより、新たな連携を生み出し、ビジネスチャンスを拡大することを目的として開催された。 交流会は、ポスターセッション形式による自社PR発表と自由交流の2段階で行われた。四国4県から参加した認定事業者社のうち、社が自社PRを行った。会場には近隣の自治体や支援機関、金融機関の各担当者を含めて総勢人以上が集い、活発な交流が行われた。 自社PRでは、発表内容をポスターで掲示し、中小機構四国の統括プロジェクトマネージャーが巡回インタビューしながら、1社当たり約8分間で認定事業の取り組み内容や今後の販路先・連携先の希望などについて発表した=写真。 自由交流では、参加者全員がPR発表企業と個別に意見交換し、相互交流を深めた。 会場内には中小機構四国の専門家が対応する「窓口相談ブース」や認定事業者間で自由に商談できる「商談ブース」も設けられた。 参加した認定事業者からは「自社の具体的な課題が多く見つかった」「いろんな事業者と交流できた」、支援機関担当者からは「支援対象事業者の実態がより理解できた」「事業者の具体的な懸念事項が聞けて勉強になった」などの高い評価を得られ、早くも次回の開催を期待する声も挙がった。 中小機構四国は今後も従来の個社への支援だけでなく、認定事業者同士の相互交流による〝創発〟を生み出す企画を立案し、実施していく考えだ。 中小企業庁は、事業承継に関するパンフレット「会社を未来につなげる―年先の会社を考えよう―」=写真は表紙=を作成した。年先を見据えて本業を強化するほか、年後の事業運営を担うのは誰かを考え、後継者の確保や育成に乗り出すことを勧め「歳を目安に事業承継に向けた準備にとりかかりましょう」と呼びかけている。 パンフレットではまず、会社の将来を考えるには、「いま」を見つめ直し、客観的な財務状況や事業、資産、目に見えない強み(知的財産)などを洗い出して経営の「見える化」が必要と指摘。それに向けた6つのアクションを示している。 次のステップとして、競争力アップ、運営体制の見直しなどで競争力アップ、組織ガバナンス、経営体質という会社を「磨き上げ」るための5つのアクションを列挙。これをサポートする相談窓口も掲載している。 その後にくる事業承継では、承継する「人」「資産」「知的資産」の3つの経営資源についてそれぞれのアクションを提示。後継者として親族、役員・従業員の第三者、社外の3つのケースを挙げ、いずれも全国に展開する事業引継ぎ支援センターへの相談を勧める。 このほか、経営承継円滑化法、事業承継補助金、経営者保証に関するガイドラインなどの支援策も紹介している。 電気通信大学産学官連携センター、経済産業省関東経済産業局、日本立地センター、中小機構の4者が連携して実施する「平成年度地域産業振興講座」の修了式が3月日、東京都調布市の電気通信大学で行われた。地方自治体や地域金融機関からの受講者人が、それぞれの地域状況に合わせ立案した振興政策を発表。講座を締めくくる講評の後、修了証が受講者に授与された。 同講座は、地域で産業支援に携わる地方自治体や地域企業を支援する金融機関などの職員を対象に、地域経済に必要な産業政策や企業支援の考え方などを講義し、地域経済の活性化戦略を導き出せる知見と能力を備えた人材育成が狙い。 4者が実施主体となり、平成年度に第1回が開かれ、今回が9回目。昨年5月に開講し、受講者は経済活性化に必要な戦略立案を学んだ。年間回にわたって開かれた講座は、政策研究などの知識習得のための座学のほか、企業訪問、グループワーク、夏季には中小機構が運営する中小企業大学校を利用した合宿なども行われた。 最終回となったこの日は、全受講者が講座で学んだプレゼンテーション技法を駆使し、地域に必要な独自政策を発表した。全体を講評した武蔵野大学の竹内利明客員教授は「目的が達成できたかを自問し、今後は学びを継続するために何が必要かを考えてほしい。現場では立案した政策が受け入れられないことが多いと思う。それでも粘り強く、諦めずに取り組むことを忘れないことが大事だ」と語った。 来賓として出席した調布市の長友貴樹市長は「毎年、獲得した予算を消化するだけで産業振興ができるわけではない。大きな発想と近未来を予測して自分たちの街を見つめる努力が必要だ。ここで学んだことに即効性を求めてはいけない。長い目で見れば必ず生きてくる」と話した。 その後、受講者一人一人に修了証が手渡された=写真。同講座の修了要件は、原則8割以上の講義出席と政策研究、リポートの提出があり、それを満たした受講者に対して修了証が授与される。 平成年度に実施する第回講座の受講者(定員人)募集は、今月日まで行われ、書類選考・面接を経て受講の可否が決定される。受講料は無料。問い合わせは、電気通信大学産学官連携センターまで。

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