20170301
4/4

人材育成の現場から中小企業大学校受講者の横顔興電舎代表取締役甲斐 稔康氏()美野 洋二・人吉校校長稼ぐ農業研修に注力部門担う人を育てる 経営視点養う研修に期待株式会社興電舎インフォメーション中堅・中小 社の「企業価値」認定企業価値協会がフォーラム・認定式海外展開の成功例学ぶ九州未来アワード中小機構進出のコツとリスク解説海外ビジネスシンポジウム東京、名古屋、大阪で開催▽本社=宮崎県延岡市浜町222―1(☎0982・33・3602)▽代表取締役=甲斐稔康氏▽事業内容=電気・計装・電力設備の保全設計および保全サービスほか▽設立=昭和(1949)年▽資本金=2100万円▽従業員数=約270人 人吉校は、熊本県、宮崎県、鹿児島県の南九州と沖縄県の中小企業を対象にした人材育成の場です。開校は平成7年で、北部九州エリアの直方校より遅れること年。一昨年に周年を迎え、この間の受講者は約2万6000人に達しています。 この地域の中小企業の悩みは、全国的な傾向ともいえますが、人口流出による労働者人口の減少です。これは産業の弱体化につながる深刻な問題だけに、自治体と連携し中小企業の若手社員を対象にした「人材の定着研修」を実施しました。 一方、南九州の基幹産業とは何か、と聞かれると〝農業〟という答えになります。国が進める農業の産業化に歩調を合わせ、今年度から農業ビジネスをテーマにした研修を開始しました。農業従事者だけでなく、中小企業が設立した農業法人などを対象に〝稼ぐ農業〟を柱にした実践的な内容となっています。 これは全国9校の中小企業大学校の中で人吉校だけが取り組んでいる研修です。直方校の協力も得て九州各県の自治体、農業法人協会などへ研修内容を伝えています。今後は九州以外の大学校の協力を得ながら全国規模で受講者を募集していく方針です。 大学校運営の基本としているのは、われわれは研修の企画、施設を提供するだけではないということ。地域、中小企業が抱える課題解決に資することこそ重視すべきと考えています。経営の悩みを持つ事業者が立ち寄れる場であることを意識し、中小機構の幅広い支援へとつなぐ最前線基地だと考えています。 受講者に好評な源泉かけ流し温泉も人吉校の特徴。研修の疲れを癒す効果があります。 「中小企業大学校人吉校の『経営管理者養成コース』への参加を志願し、9期生として6カ月間、経営者に必要な知識と実践手法を学び、現在の経営につながる礎を築いた。会社の成長に研修は欠かせない。その重要性を熟知している」と興電舎の甲斐稔康代表取締役は語る。 甲斐氏は2006年5月に4代目の代表取締役に就任。その後、東九州に軸足を置きながら、さらなる事業エリアの拡大、新事業への展開など着実な成長に向けた取り組みを続けてきた。ただ、課題もある。 興電舎は、甲斐氏の父、林蔵氏が戦後間もない1946年、モーターやトランスの修理を行う個人事業として開業した。社名には戦災からの復興を目指す意味が込められている。電機器具の修理からスタートした事業は、現在も電気設備などのメンテナンス事業へと引き継がれ、主要事業の一つと位置づけられている。 さらに電気設備工事業に加え、監視・制御システムのソフトウエア設計開発、受配電盤の設計開発など、大きく4つの事業領域に分けることができる。 「設計から施工、製造、その後のメンテまで事業のバリエーションの豊富さが会社としての強みだと胸を張れる。だが、逆に人的資源が分散してしまう弱みにもなる。何もしなければ部門ごとに異なる教育が行われかねない」という。その対策として2年前に経営管理部門に教育専任者を置き、教育プログラムを体系的に整備し、会社として教育の一元化を図った。 新入社員、若手・中堅、指導職、管理職の4階層に分け、社会人基礎力から職業能力、リーダー養成の3分野について、必要な研修を実施する。とくにリーダー養成は、人吉校の「新任管理者研修」「経営管理者養成コース」が中心となっている。 今年度は、経営管理者養成コースに3人を派遣。そのうちの一人である取締役は「受講前は半年間職場を離れることへの不安があったが、あっという間だった。ここで得た知識と自分の経験を照らし合わせると、反省すべきことが多いのに驚く。これからは新しい視点で仕事に取り組む」と感想を語る。 「カリキュラムがしっかりしており、通常勤務とは異なる時間と場に身を置き、学び考えることが帰社後の業務効率に反映されている。経営的な視点が備わり頼もしくなる」と甲斐氏は強調する。 同社の活動領域は全国規模に発展しており、ニーズに対応し台湾、韓国、タイへの事業展開も視野に入れている。「人材が足りない」という。 興電舎は現在「設立周年に向けた創造的成長」を目標とする5カ年にわたる中期経営計画(年4月~年3月)を遂行中だ。2年目となる今年度は「人を活かす」をテーマに掲げている。 社員の成長が会社の成長につながる。だからこそ、人材育成に力を入れなければならない。そこに持続的な成長の因がある。「研修から戻ってきた社員は、頼もしさが増す」と語る甲斐氏(自社開発の制御装置の前で)(4)第1187号平成29年3月1日(水曜日)■中小機構と東商、「SWBS海外ビジネス相談会㏌東京」を3月日に開催 中小機構と東京商工会議所は3月日、東京都中央区のTKP東京駅日本橋カンファレンスセンターで「海外ビジネス相談会㏌東京」を共同開催する。 海外展開を志す中小企業と海外展開支援者のマッチングイベントで、これまでのSWBS懇談会を改称した。海外展開に役立つ基調講演やセミナー、海外展開支援のエキスパートへの相談を通じて海外展開のパートナーと出会うことができ、海外展開の知識・ヒントが一日で手に入る。 定員は200人。参加費は無料。時間は午後1時分から6時分。詳細と参加申し込みは、公式ホームページ(https://swbs.smrj.go.jp/event/5523/)で。■東京投資育成と中小機構関東、事業性評価融資のセミナーを3月日に開催 東京中小企業投資育成と中小機構関東本部は3月日、東京都渋谷区の投資育成ビルで、投資育成セミナー「事業性評価融資に対応する企業経営とは」を共同開催する。事業性評価融資と中小企業の対応策を日本動産鑑定の森俊彦会長が解説する。中小機構が事業性評価に対応するための活用方法も紹介する。 時間は午後2時から4時分。参加費は無料。詳細と申し込みは公式サイト(http://www.sbic.co.jp/main/fronts/seminar_detail/846)で。■TIPS、「マイプロジェクト道場」体験ワークショップを3月日に開催 中小機構のビジネス創発拠点TIPS(東京・丸の内)は、第8期「マイプロジェクト道場」を5月から開始するのにあわせ、3月日に体験ワークショップを開催する。 マイプロジェクトは、慶応大学の井上英之研修室から始まった手法で、日常の生活や仕事で感じる些細な疑問や問題意識などからプロジェクトをつくる手法。今回は約2カ月間、計5回の連続講座を行う。体験イベントではそのエッセンスを体験できる。 時間は午後7時分~時。参加費無料。申し込みはホームページ(https://www.smrj.go.jp/enq/kikou/jinzai/100527.html)から。 企業価値協会(東京都港区)は2月2日、東京・丸の内のパレスホテルで「2017年上期企業価値フォーラム・企業価値認定式」を開いた。フォーラムでは、ラーメンチェーン店「中国ラーメン揚州商人」を展開するホイッスル三好(東京都杉並区)の三好比呂己社長ら3人の個性あふれる経営者がそれぞれ自社の歩みを振り返り、今後のビジョンを熱く語った。 認定式では全国各地の中堅・中小企業社に企業価値認定証が授与された。 三好社長は「流行に乗らず、世にないものを広げる方針を貫いてきた。いま受けているスーラータンメンや杏仁豆腐は当店から広まったと自負している」と強調した。併せて、若いころ自己啓発の大家として知られる米ポール・J・マイヤーに感化され、マイヤーが興したSMIプログラム事業に携わったとしたうえで、「飲食店で大切なのは店の人の人柄。お客は人柄を見抜くので、人間教育のため毎日、各店舗を回って話をしている。人生やものの考え方などが私の本業だから」と説明した。 認定式では、メーカー保証期間が切れた電子機器を修理・延命させる事業を軌道に乗せた京西テクノス(東京都多摩市)、日本一のパワーを誇る大型吸引車でプラント設備のメンテナンスなどに取り組むエレファントジャパン(大分市)、抹茶入りソフトクリーム「グリーンソフト」を〝和歌山県のソウルフード〟と呼ばれるまでに育て上げた玉林園(和歌山市)をはじめとする全国社に対し、同協会から認定証が授与された。 同協会は、中堅・中小企業が持つ特徴的な価値を発見し、広く世に伝えることで価値の進化・発展を後押しすることを目的に2012年7月に設立され、企業価値認定を実施している。認定企業数は今回を含めて約100社に達する。認定式は中小企業庁と中小機構が後援した。 中小機構は2月日、中小企業の海外進出のコツや海外リスクマネジメントの課題と考え方を紹介する中小企業海外ビジネスシンポジウム「勝てる海外進出と壁(リスク)の乗り越え方」を東京都港区の品川グランドホールで開催した=写真。海外進出を目指す中小企業経営者ら約350人が、先行企業の経験談や学識者の助言に耳を傾けた。同シンポジウムは2月日に大阪、同日に名古屋でも開催した。 このシンポジウムは、中小企業の海外進出が拡大する一方、国内外の経済情勢の変化により現地で事業不振やトラブルに直面する企業が増えていることから、リスクの事例や具体的なリスク管理方法を学ぶのが狙い。東京会場では、山口義行・立教大学教授の基調講演「海外展開で『市場の壁』を乗り越えろ!~『小さな会社』が市場をつくる~」で開会した。 山口教授は、経済産業省の企業活動基本調査の結果から、海外展開した企業は国内雇用も増やしているが、国内展開にとどまっている企業の雇用は伸びていないことを読み取り、海外進出は国内産業を空洞化するという定評を否定した。また、海外展開に成功した中小企業の事例として、コジマ技研工業(神奈川県相模原市)が、職人同様に肉に波を打たせて焼き鳥を串に刺す自動串刺機を開発し、海外からの引き合いが相次いでいることや、洗車サービスが中国にないことを知った洗車の王国(同伊勢原市)が、同地に進出して急拡大していることなどを紹介。「海外進出と経営規模は無関係である」とした。 一方で、「新たな市場創造の一部として海外を位置付ける発想が必要」と強調。海外進出自体の目的化には注意を促した。 続いて、「初めての海外進出時に陥りやすい失敗とリスクについて」と題するパネルディスカッションが行われた。高橋英章・中小機構プロジェクトマネージャーをモデレーターに、包装用機械を製造・販売する大森機械工業(埼玉県越谷市)の大森利夫代表取締役、粘着テープを手掛けるコスモテック(東京都立川市)の高見澤友伸代表取締役、大江橋法律事務所の本澤順子弁護士、海外リスクマネジメント研究会委員で、やまと監査法人の小黒健三公認会計士、海外リスクマネジメント研究会事務局を務めるインターリスク総研の高橋敦司上級コンサルタントの5人をパネリストに迎え、それぞれの実体験を語り合った。 高見澤氏は「日本人が海外でものを売ることは、言語の違いではなく、文化の違いから不可能」と述べ、現地の人材雇用による相手企業との信頼関係構築が必要とした。大森氏は、「財務担当者は英語のできる専門家であるべきだ」として、契約交渉を任せられる人材の確保を勧めた。小黒氏は、「外国人は契約を破棄すればメリットがあると判断したら破棄する」と交渉力強化を求め、高橋氏は「リスクテークと無策、チャレンジと蛮勇を混同しないこと」と、専門家を起用してリスクを回避するよう促した。 本澤氏は海外から撤退する企業の従業員をリストラするケースを担当した際、通常の3倍の退職金を支給した経験を話し、会社清算時の備えを求めた。 最後に、支援機関の海外展開支援業務を紹介した。中小機構販路支援部の林崇郎課長代理は、海外子会社の経営に課題を抱えている中小企業の経営診断「海外事業再編戦略推進事業」と、海外展開に向けた戦略策定や販路開拓につなげるF/S(実現可能性調査)支援「海外ビジネス戦略推進支援事業」の公募開始を案内。日本貿易振興機構(ジェトロ)ビジネス展開支援部の江崎来美氏は、中小企業に計画立案から実現までのノウハウや各種支援機関のサポートを専門化がワンストップで提供する「新輸出大国コンソーシアム」を紹介した。 熊本日日新聞社など九州の地方新聞社7社で組織する九州未来アワード実行委員会は2月日、「外需を掴め!中小企業の海外展開を考えるシンポジウム」を熊本市のホテル熊本テルサで開いた。九州から世界へ羽ばたく中小企業や起業家を応援する表彰制度「九州未来アワード」のスピンオフ企画で、中小機構九州本部が協賛した。約200人の中小企業経営者らが、小規模企業でも海外展開に成功した事例や有識者のアドバイスに聞き入った。 昨年の熊本地震は熊本県内のみならず、九州全体に大きな経済的影響を与えた。被災地では復興が始まっているが、九州経済が平穏を取り戻すには時間がかかりそうだ。この状況で「アジアの玄関」という恵まれた九州に拠点を置く中小企業には、事業拡大の選択肢として海外に視野を広げることが大切になっている。 シンポジウムでは、まずアレックス代表取締役兼CEOで元グーグル日本法人代表取締役の辻野晃一郎氏が「最初から世界市場へ~地方から日本を世界にスケールさせよう!」と題して基調講演した=写真。 辻野氏は、東芝や三菱自動車などインターネットのなかった時代に日本経済を牽引した大手企業が、不祥事をきっかけに経営危機に瀕している一方、インターネットの登場に伴って現れたグーグルやアップルが世界を席巻している現状を引き合い出し、「環境の変化に対応できない企業は滅びる。まじめにコツコツは大切だが、思考停止に陥ってはならない」とした。 1800年代初頭に約億人だった世界人口は、200年で約7倍の億人になり、2090年には100億人に達すると推計されるとして海外市場の拡大を指摘。企業が最初から世界を狙うためには、「未来を予測して現在の動き方を決める行動変革が必要」と指摘した。世界の人口は英語圏が億人、中国語圏が億人に対して、日本語圏は1・2億人しかないことから、インターネット販促の多言語化も勧めた。海外展開では、能作(富山県高岡市)、旭酒造(山口県岩国市)が好例とした。 続いて、「熊本から海外へ~その現状と課題を探る~」をテーマに、海外展開している九州の企業を招いたパネルディスカッションが行われた。 昨年の九州未来アワードの企業・団体部門で準大賞を受賞したボトルフラワーを手掛ける宮川洋蘭(熊本県宇城市)の宮川将人専務取締役、さつまいも生産・販売のくしまアオイファーム(宮崎県串間市)の池田誠代表取締役、齊藤三・中小機構九州本部長と基調講演した辻野氏の4人が、熊本日日新聞社の本多孝編集委員をコーディネーターとしてそれぞれの意見を述べ合った。 この中で宮川氏は「現地のパートナー企業を確保するのが困難。自社ビジョンを共有できるかどうかがカギ」、池田氏は「仕事は、できる人材に任せるべきだ」、辻野氏はクラウドファンディングの活用を呼びかけた。また、齊藤本部長は中小機構に多数在籍している専門アドバイザーの活用を来場者に勧めた。

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る