20170301
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大学発ベンチャー創出などで連携東北大学と協定締結中小機構、国立大学と初中小企業の挑戦、地域で応援中小企業庁・九州経産局など 一日中小企業庁福岡中小機構「EC Camp」開催電子取引活性化で関連事業者集結ネット販売のノウハウ学ぶギフト関連社を支援中小企業総合展Gift Show開催中小機構東京・名古屋で農商工連携シンポジウム・経産省 (面)賃金改善企業が過去最高見通し・景気動向 (面)MEDDEC、HIDEC周年で記念シンポ (面)東京、名古屋、大阪で海外ビジネスシンポ (面)(1)第1187号平成29年3月1日(水曜日)〈毎月、日発行〉連携協定書を交わした東北大学の里見総長(左)と中小機構の高田理事長 中小機構は2月日、東京・虎ノ門の虎ノ門ヒルズで、中小企業のネット販売を支援する総合イベント「EC Camp2017」を開催した。国内だけでなく、海外向けEC(電子商取引)ビジネスのノウハウを学ぶのに加え、IT(情報技術)を活用して生産性向上を図るのが狙い。ECビジネスをサポートする企業の展示や実演をはじめ、EC実践講座、パネル討論、ECよろず相談など多彩なメニューで構成。会場にはECによる販路開拓を目指す中小企業・小規模事業者の経営者、営業担当者らが多数訪れ、どのコーナーも終日、熱気に包まれていた=写真㊤。 メーンイベントとなる展示・実演では、ECのモール運営、サイト構築、翻訳、決済、物流、管理ツールからクラウドソーシング、クラウドファンディングまで、関連分野で活躍する合計余りの企業・団体が、自社サービスの強み、独自性をPR。来場者と熱心に話し込む光景が会場のあちこちで見られた。 このうち、AI(人工知能)による機械翻訳と人手による翻訳の〝組み合わせの妙〟が評価され、企業ユーザー、個人ユーザーのどちらも伸びているというオンライン翻訳ツールの八楽(東京都渋谷区)は、「越境ECには的確な翻訳が欠かせない」と、品質の高さをアピールした。 また、世界に200以上の配信拠点を構え、ウェブを高速化するグローバルCDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)サービスを展開するシーディーネットワークス・ジャパン(東京都新宿区)は「越境ECに最適。セキュリティーの面でも役立つ」と、ECとの親和性の高さを強調していた。 クラウドソーシング大手のクラウドワークス(同渋谷区)は、ウェブデザイン、オンラインショップ運営、カスタマーサポートといった業務でキャリア豊富な人材をニーズに応じて供給できると訴求。同業のワークシフト・ソリューションズ(同)は、「登録者に日本留学経験者の外国人が多いのが売り。海外の市場調査にぴったり」と活用を働きかけた。 クラウドファンディングのサーチフィールド(東京都品川区)は「ふるさと納税につながる事業に力を入れている」として、町おこし関連の新規プロジェクト立ち上げを呼びかけていた。 公的機関も出展した。知的財産を取り扱う工業所有権情報・研修館は、越境ECにおける知財のリスク管理の重要性を指摘し「とくに商標やブランドの模倣に注意が必要。海外に目を向けるなら、取得するドメイン名はドットコムがお勧め」と、越境ECと知財の勘所を説いていた。 ネットショップ従事者のスキルアップを後押しし、EC全体の底上げにつなげる「ネットショップ検定」に取り組んでいるネットショップ能力検定機構は「百貨店や通販、IT、教育など、さまざまな分野で経験豊富な人たちが検定問題を作成し、幅広い知識、ノウハウが身に付くように工夫している」と検定・資格制度を説明し、来場者に資格の取得を働きかけていた。 一方、EC実践講座は、EC事業者のほか、クールジャパン機構、情報処理振興機構、日本生産性本部など公的機関の専門家および中小機構販路開拓支援アドバイザーら多彩な講師陣が、「越境EC成功へののポイント」「いまさら聞けない!ビジネスにおける著作権の常識」「すぐに役立つ!海外eコマース最新動向/インド編/インドネシア編/マレーシア編/中国編」などのテーマで、現場最前線の傾向と対策を語った=写真㊦。 このほか、「シェアリングエコノミーで変わる仕事と社会」「ミレニアム世代の購買行動」に関するパネル討論が行われた。日本のアニメ、漫画、ゲームなどのサブカルチャーを世界に発信しているトーキョー・オタク・モードの小高奈皇光共同創業者兼CEOは「世界中に1900万人のファンを持つ企業が手がける越境ECとは?」と題して、クールジャパン機構の担当者とのやり取りを通して、わが国サブカルチャーの人気の高さを解説した。 経済産業省中小企業庁、九州経済産業局、福岡県は2月日、福岡市のグランドハイアット福岡で「一日中小企業庁㏌福岡」を開催した。今年は「地域で支える中小企業のチャレンジ」をテーマに、中小機構九州本部が共催。年ぶり2度目となった福岡での開催には、九州各地から中小企業や支援機関などから約250人が集まり、課題解決策などの情報収集に勤しんだ=写真。 一日中小企業庁は、経産省幹部が各地を訪れ、最新の中小企業施策を説明するとともに、地元企業との意見交換や交流の場とし施策をより良いものにしていくイベント。第1部では宮本聡・中企庁長官が最新の中小企業・小規模事業者政策を説明した。 宮本長官は、休廃業・解散件数は高水準で推移している傾向や、経営者の高齢化が進み今後5年から年で約半数の中小企業が事業承継のタイミングを迎えるとの推計を紹介。事業承継では、承継診断や専門家による後継者の承継意欲刺激策などで構成する「プレ承継支援」、承継を契機とする経営革新や新分野展開などで構成する「ポスト承継支援」の事前・事後策を「今後5年程度、集中的に実施する」とした。 中小企業・小規模事業者人材対策事業では、若者、女性、高齢者ら多様な人材から企業が求める人材を発掘してマッチングするイベントや、人材採用・定着のためのセミナーなどを実施するとした。 第2部は、福岡県内の企業と意見交換するパネルディスカッション。九州大学大学院の高田仁教授をコーディネーターに、老舗醤油メーカー、ごとう醤油(北九州市)の五嶋隆二代表取締役、庭造り専門の二光(宗像市)の枇杷光二代表取締役、豆腐工房ぬくもり畑(朝倉市)の中村富美夏営業統括マネージャー、小島良俊・福岡県商工部長、宮本中企庁長官が参加した。 五嶋氏は重要課題として資金繰りを挙げ、「黒字経営に努めるのは当然だが、補助金をできるだけ活用している」とした。枇杷氏は人材確保を最大の課題とし、「当社は6人体制で、女性が4人。女性ならではの理由で現場を離れるケースがある」と、社長1人で人事や労務管理まで行き届かない窮状を明かした。中村氏は「中小企業が単独で全国展開を狙うのは困難」と、地元企業の目玉商品を集めた地域特産品パッケージの商品化支援を要望した。 宮本長官は「小規模事業者に共通した悩みは相談相手がいないこと。見つかった時点で問題は半分解決したようなもの」とし、支援機関の活用を促した。小島部長は地域の中小企業支援協議会を紹介し「相談を受けることで協議会の支援の質も向上する」とした。 また、中小機構九州などが主催し、神奈川県秦野市の鶴巻温泉旅館、陣屋の宮富夫代表取締役を迎えた特別講演「ITを活用した旅館改革への挑戦」も開かれた。宮氏は平成年に家業の旅館経営を未経験のまま引き継いだ。自社開発したクラウド型予約・顧客管理システムでデータ分析と接客力向上を実現し、経営危機に陥っていた旅館を3年で再生。今では「旅館を憧れの職業に変えたい」と、同システムを全国約200軒のホテルや旅館に提供し、旅館業の底上げに尽力していることなどを紹介した。 中小機構は、東京・有明の東京ビッグサイトで2月8日から日まで開かれた「第回東京インターナショナル・ギフト・ショー春2017」(主催・ビジネスガイド社)内で、「中小企業総合展」を開催した=写真。全国からギフト関連商品を扱う中小企業100社の出展を支援。同時に、隣接するブースでは地域資源活用商品などのメーカーとバイヤーを結ぶプラットフォーム「Rin crossing」(リン・クロッシング)コーナーを設け社の商品を紹介した。 中小企業総合展は、経営革新に取り組む中小企業・ベンチャー企業にビジネスマッチングの場を提供し、販路開拓を支援する施策の一つ。ギフト・ショー会場内に専用ゾーンを設置し、「おくりもの百景」をテーマに優れた製品、優れたサービスを一堂に展示した。 中小機構は経営支援アドバイザーや専門家ら6人による商品評価会も実施。ブースでの商品の見せ方やパンフレットによる商品説明の内容について、きめ細かく実践的な助言を行うなどソフト支援も展開し、出展者から好評を得た。 老舗の手芸道具メーカー、KAWAGUCHI(東京都中央区)は、素材にこだわり使い勝手のよいソーイングバッグや、はさみなどを出展。セールス課の河口玄太郎氏は「来場者の声を聞き商品開発に生かしたいと思い出展した。専門家のアドバイスもあり、気がつかない点を指摘され参考になった」と話す。 料理用のステンレス製ボウルと丸バット、平ザルの3種類を来場者に触れてもらい機能性の高さをアピールしたのは一菱金属(新潟県燕市)。江口広哲氏は「重ねても厚みが出ない、倒れない使いやすさが特徴で、グッドデザイン賞も受賞した製品。地味だが贈り物には喜ばれると考え出展した」という。 一方、リン・クロッシングでは、訪日外国人が帰国後も愛着を持って長く使用してもらえる日本独特の技術、デザインを見せるコンセプトで商品を紹介。扇子、織物、陶磁器など日本風の商品を外国人の目を引くよう展示した。 白、金、白金の輝きで、底に干支が描かれた磁器のぐい飲みセットを展示したヤマ亮横井製陶所(岐阜県土岐市)の横井亮一氏は「年前から干支のぐい飲みを始め、どこも見向きしてくれなかったが、ようやく受け入れられてきた感がある。今回は金、白金の色をつけ反応を確かめにきた。干支の文化がある東アジア向け商品にしたい」と語る。 今回のギフト・ショーは「がんばろう日本〝創造と発見〟新しい世界の輪」をテーマに東京ビッグサイト全館を使用して行われた。国内外カ国・地域から約2600社が出展し、来場者は3日間で万人。バイヤーを中心に一般消費者も来場し、連日にわたり会場は混雑した。 中小機構は2月日、東北大学と大学発ベンチャーの創出や地域イノベーションの推進などを目的とした「組織的連携協定」を締結した。両者は、2008年に東北大学青葉山キャンパス内にインキュベーション施設「東北大学連携ビジネスインキュベータ(T―Biz)」を設置し、ベンチャー企業創出や育成などに取り組んできたが、今回の協定により連携を一層深め、産学連携によって新事業展開などを加速するのが狙い。中小機構が国立大学法人と連携協定を結ぶのは初めて。 協定は、①ベンチャー・創業支援②人材育成③新たな商品・サービスの開発支援④販路開拓支援⑤地域資源を活用した事業支援⑤東日本大震災の復興支援―など広範囲に及ぶ。当面、東北大学の研究シーズや大学発ベンチャーと民間ベンチャーキャピタルとのマッチング機会を創出するほか、中小機構が運営するマッチングサイト「J―GoodTech(ジェグテック)」に東北大学の特設ページを掲載し、技術シーズと企業ニーズの出合いの場を設ける。 同日、仙台市青葉区の東北大学片平キャンパスで行われた協定調印式・記念講演会で東北大学の里見進総長は「当大学はこれまでも産学連携を推進してきたが、今回の協定により民間ベンチャーとの連携だけでなく、学内、とくに学生のアントレプレナーシップを高め、新たな人材を発掘したい。スピードを考えれば中小企業こそが優れた相手となる可能性があり、産学連携の新しい門戸開放の機会としたい」と語った。 来賓として参加した経済産業省東北経済産業局の田川和幸局長は「政府のテーマである地方創生のカギはイノベーションと生産性向上だ。そうした意味で、今回の協定は時宜を得たもの。東北経産局でも中期計画で創業支援に力を入れている。大学の知的資産をジェグテックなどで結びつけ、生きた産学連携を期待しており、東北発のベンチャーを生み出してほしい」と挨拶した。 この後、中小機構の高田坦ひろ史し理事長が「日本経済を牽引するベンチャーの創出に向けて」と題して記念講演した。高田理事長は、日本経済を取り巻く環境や、中小企業の数が減少を続けていると説明。また、廃業率が上昇しており、国際的に見ても日本の起業環境が劣っている現状などを紹介したうえで、日本経済の活性化には「開業率の向上がカギ」と強調した。起業意欲を高めるには「まずは教育によって起業家の社会的地位を高める意識の変革が必要。また、起業後の生活・収入の安定化、不安の払拭、起業コスト・手続きの簡素化、一般に開放されていないシーズの有効活用などが必要」とした。 中小機構は、潜在的起業希望者から実際の起業家までステージごとにベンチャー支援策を行い、またファンド出資などでベンチャー支援を行っている支援策も紹介。 最後に「今回の連携協定により、従来よりも幅広い分野で支援事業を実行していき、大学発ベンチャーなどを増やしたい」と締めくくった。

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