20161201
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小規模事業者の経営改善実践第回商工会全国大会地方経済対策など 6項目を決議支援機関連携し学生へ承継各自が実効性ある役割果たすあさひなはり灸整骨院「適正価格」支払う取引慣行を中企庁 下請取引適正化でシンポ改正個人情報保護法でビッグデータ活用に道開く虎ノ門セミナー「サポインテック」を開催・関東経産局 (面)景気動向・日銀金融緩和策に6割の企業「実感なし」 (面)中心市街地活性化協議会全国勉強会を開催 (面)東京・新宿で「地域のちからコレクション」 (面)バトンは確実に引き渡される。左から岩崎奈百合氏、英明氏、高田氏(院内受付前で) 整骨院の数は近年、急速に増え続け、2014年現在で全国に約4万5000院(厚労省資料)にのぼる。歯科医院と同じく町のいたる所で看板を見かけ、当然、競争は激しく経営は厳しい。 その中で静岡県三島市の「あさひなはり灸整骨院」は、年月の開業以来アットホームを大切に地元で愛される治療院として実績を積み重ねてきた。院内はバリアフリー環境と明るい雰囲気を重視した清潔感で溢れ、すべての人に安心感を与えている。こうした取り組みが、1日平均人の来院数に表れ、保存カルテは5000人を超えるなど、信頼の高さがうかがえる。 院長の岩崎英明氏()は針灸師、妻の奈百合氏()が柔道整復師として治療院を経営してきた。ところが「母親()の病状が進行し始め、いずれ本格的な介護が必要で、整骨院の継続は難しい」との悩みを奈百合氏が抱くようになる。 整骨院は、柔道整復師の国家資格を有する者しか開業できない。ならば鍼灸院だけで「あさひな」の名を続ければいいのだが「整骨で長年にわたり通ってくれる地元の患者さんに申し訳ない」と英明氏は語る。夫婦で話し合い、結論は奈百合氏が独立して自宅で自由診療による治療を随時行う。これならば母親の介護と両立できる。現在の整骨院は第3者に事業承継することにした。 だが、事業を譲るにも適当な後継者が見つからない。「友人、知人をはじめ方々に声をかけたが、首を縦に振る人は現れなかった。そこで商工会議所に相談を持ちかけた」(奈百合氏)。自分たちも商工会議所の会員であり、三島商工会議所にある相談施設「M―ステーション」の存在を知っていたが、相談を持ちかけるには、それなりの勇気も必要だった。 「とにかく緊張の連続。私と主人の想いを解きほぐすよう引き出してくれたので、気持ちの整理ができ、事業承継への覚悟を新たにすることができた」という。相談の中で、柔道整復師専門学校の卒業生から探してはどうかとのアドバイスがあり、知人の専門学校校長に声をかけ、同時に静岡県事業引継ぎ支援センターに併設されている後継者人材バンクへ登録した。 こうして複数の候補者との面談を経て、最終的に双方で合意できたのが専門学校2年生の高田容一郎氏()だ。当初は卒業生で探したが、こだわる必要もないことから範囲を広げ、ようやく任せられる人に行き当たる。高田氏は元静岡県警の警察官。家庭の事情で転勤しにくい状況となり退職し、柔道整復師の道を目指している。「将来は独り立ちしたかったので話を聞いたとき、迷わず手を上げた」と語る。 その後、M―ステーション、静岡県事業引継ぎ支援センター、経営指導を担当する公認会計士を入れた面談が行われ、事業承継の基本合意へと向かう。奈百合氏は「学生だが社会経験が豊富で、貪欲に知識を吸収しようとする意欲があり、専門学校の成績もトップ。この人に任せたいと思った」と話す。 陽の光のように温もりを感じてもらいたいと願い「あさひ」と「ひなたぼっこ」を掛け合わせた「あさひな」の名称も存続し、地域の患者さんに迷惑をかけることもなくなった。英明氏も同じ場で鍼灸を極める道を続ける。引継ぎは、高田氏の卒業と国家資格取得後の年9月末を予定している。 今回の事業承継は、後継者人材バンクのスキームを活用した成功例だ。その要因は各支援機関の関係者の連携が円滑に行われたことが大きい。 三島商工会議所の石渡智英・経営指導員は「ニーズを的確に収集・把握し、相談者に寄り添う対応を心がけた」とし、外部専門家で公認会計士の平野巧氏は「現状のビジネスモデルの分析や承継計画の策定を実施し、今後も経営指導を行う」と役割を説明する。静岡県事業引継ぎ支援センター統括責任者補佐の長谷川宣明氏は「関係者のコミュニケーションに気を配り、全体のコーディネートに全力を注いだ」と語る。(1)第1181号平成28年12月1日(木曜日)〈毎月、日発行〉 全国商工会連合会(全国連)は月日、全国の商工会会員が結集し、中小企業・小規模事業者の経営環境改善や地方経済の発展に資する重要課題の解決に向けた決意表明を行う「第回商工会全国大会」を東京・渋谷のNHKホールで開催した。全国の会員はじめ商工会関係者ら約3000人が参集。来賓として多数の国会議員らが見守る中、地方経済対策や地方創生の実現など政府への要望事項6項目を全会一致で決議した。石澤義文大会会長は、国の小規模事業者関連予算が大幅に増額されたことについて「全力で期待に応える」と力強く宣言した=写真。 中小機構は月日、東京・虎ノ門の同機構本部で「改正個人情報保護法が中小企業に与える影響と留意点」をテーマとする虎ノ門セミナーを開催した。牛島総合法律事務所の弁護士、影島広泰氏が法改正のポイントやビッグデータと個人情報の関係などを解説した=写真。中小企業経営者ら約140人が聴講し、熱心にメモを取る人も少なくなかった。 改正個人情報保護法は2015年9月に公布され、年春の全面施行に向けて準備が進められている。現行法との違いについて影島氏は「個人情報の定義を明確化し、また名簿屋対策となる罰則の導入などで個人情報の保護を強化したのが特徴」と説明。そのうえで、個人情報の取得、利用、保管、提供、開示など5つの実務上のポイントに言及した。 その中で「個人データの漏洩、毀損防止のため、必要かつ適切な措置を講じることが義務化され、措置の内容はガイドラインに示されている」「従業員数が100人以下で、取り扱う個人データ数が5000件以下の中小規模事業者には特例がある」「業務委託の契約時には、情報が漏洩した際の損害賠償をどう定めるかが極めて重要になる」と説いた。 また、ビッグデータとの関係では「特定の個人を識別できないよう個人情報を加工して得られる〝匿名加工情報〟を、本人の同意がなくても利活用できることになり、新たなビジネスチャンスが生まれる」と展望した。 同セミナーは中小機構が月1回のペースで実施している虎ノ門セミナーで、今回は日本商工会議所、日本情報経済社会推進協会が主催者に名を連ねた。 国内景気は一進一退で推移しているとされるが、実感の湧く回復は見られない。一方で、地方の中小企業や小規模事業者を取り巻く環境は、人口減少による市場縮小、原材料費高騰、人手不足、後継者問題を抱え依然厳しく、先行き不透明な状況が続いている。そうした中で経済産業省は来年度予算で「小規模事業者の下支え」に億円を要求。今年度第2次補正予算で確保した小規模事業者関連予算170億円を合わせた総額226億円は、前年度比で%の伸びとなった。一昨年6月には、商工会の悲願だった小規模企業振興基本法も成立している。 石澤会長は、「国の予算増額は商工会への期待の表れ」と、国の施策に感謝して代表挨拶。改正小規模事業者支援法に基づく伴走型小規模事業者支援推進事業をめぐっては、「全国の商工会が経営発達支援認定を受けることが大きな柱。商工会の指導で会員自ら経営計画を策定し、経営改善を実践することに力点を置いている」と述べ、関係者に協力を求めた。 関係団体を代表して、中小機構の高田坦ひろ史し理事長が挨拶。高田理事長は、直近5年間で中小企業と小規模事業者の廃業数が約125万社と推定される事態を危惧し、BCP(事業継続計画)の重要性と事業承継問題に触れた。「帝国データバンクの調査によれば、店じまいしたケースの約半数が黒字。この状況が続けば地方経済に重大な影響を及ぼしかねない。歳代の経営者の約6割が事業承継の準備をしていない。事業承継こそ、事業継続計画策定上の最大の問題だろう」と述べ、早めの事業承継準備と事業引継ぎ支援センターをはじめとした中小機構の支援策活用を促した。 続いて、森義久大会副会長(鹿児島県商工会連合会会長)が意見表明。①生産性向上に資する設備投資への重点助成と消費マインド喚起策②小規模事業者持続化補助金と展示商談会および伴走型支援体制関係予算③地元・鹿児島の黒糖焼酎の知名度向上に尽力した経験から販路開拓と海外展開関係予算に最大限の助成を求める│という3点を強調した。 森副会長は、▽地方経済に波及効果のある経済対策の実施▽経済の持続的成長を支える小規模事業者への支援の大幅拡充▽中小企業・小規模事業者が主役の地方創生の実現▽中小企業・小規模事業者の活力に資する税制・社会保障の実現▽東日本大震災、熊本・大分地震等への対応▽商工会の支援サービスの更なる充実―の6項目を提示。満場一致で原案通り決議された。 表彰式では、「平成年度むらおこし特産品コンテスト」や経営改善普及事業、事業推進優良商工会の受賞者並びに「平成年度世紀商工会グランプリ」の準グランプリを受賞した長沼町(北海道)、西秩父(埼玉県)、能美市(石川県)の商工会3者をたたえた。今回はグランプリの該当者はなかった。 引き続き、政党を代表して、二階俊博・自民党幹事長、山口那津男・公明党代表、野田佳彦・民進党幹事長が相次いで祝辞を述べ、それぞれの立場から小規模事業者の発展を祈念した。出席予定だったが海外出張で実現しなかった安倍晋三・内閣総理大臣と世耕弘成・経済産業大臣の祝辞は、萩生田光一・内閣官房副長官と松村祥史・経済産業副大臣がそれぞれ代読した。 中小企業庁は月7日、東京・御茶ノ水のTKP御茶ノ水会議室で「下請取引適正化推進シンポジウム2016」を開催した。「『よい品質』に見合った『適正な価格』を支払う取引慣行定着に向けて」のサブタイトルのもと、弁護士や発注元となる大手企業の法務担当者らが、下請代金法をめぐる動向や取り組み事例を説明した。会場には中小企業の経営者、営業担当者ら約370人が訪れ、各講師の話に耳を傾けていた。 シンポジウムでは、まず安藤保彦・中企庁取引課長が「未来志向型の取引慣行に向けた、通称〝世耕プラン〟を発表するなど、いま国を挙げて下請け中小企業の取引改善に努めている」と政府の取り組みを紹介した。 続いて弁護士の長澤哲也氏が「下請代金法とコンプライアンスの取り組み」のテーマで講演。長澤氏は「大手企業のトップが、利益を犠牲にしてでも下請代金法を順守すると明確な方針を示すことがコンプライアンス体制構築の基礎になる」と強調した。 引き続き、内田洋行と矢崎総業の法務担当者が、それぞれの下請取引適正化へ向けた活動を説明した。北山尚美・内田洋行法務課長は、2012年に中企庁から改善を指摘されたことを踏まえ、「『やっているはず』『やっているつもり』の落とし穴がたくさんあることを知り、穴を埋める取り組みに力を入れている」と話して具体事例を示した。 また、後藤修・矢崎総業執行役員法務室長は「独禁法で名を売った」と自社を紹介したうえで、「競合他社との接触を原則禁止とするなど、法令順守の体制を整備した」と語り、下請法がらみでは「問題発生時の迅速な対応をとくに重視している」とした。 最後に、講師4人がパネル討論「コンプライアンス強化と企業間取引の適正化を目指して」を実施=写真。そのなかで、下請事業者がどれだけ満足しているか、CS(顧客満足度)ならぬSS(サプライヤー満足度)を調査している大手企業の先進的な取り組みが紹介され、安藤課長が「情けは人の為ならず。自らに跳ね返ってくる」と締めくくった。 このシンポジウムは下請取引適正化推進月間の月を中心に毎年、全国各地で行われている。今年は月下旬に熊本市で第1弾が開かれ、月末まで、シンポジウムとセミナーを合わせて全国8会場で開催された。

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