研究開発成果集(事業期間 平成18年度~平成20年度)
44/56

41 マルチ冷却制御による マルクエンチ技術及び装置の開発 プロジェクト参画研究機関 独立行政法人産業技術総合研究所、株式会社四国総合研究所、愛媛県産業技術研究所 事業管理者 株式会社西条産業情報支援センター ■研究開発の背景・目的 自動車用エンジンに代表される回転動力系における高出力・低騒音化の強いニーズに対しては、トランスミッション等の構成部品の高精度、高強度化が重要であり特にその製造工程の中で歯車浸炭焼入工程が鍵を握っている。本研究では、この浸炭焼入工程で新しい冷却制御技法を開発し、環境・エネルギーでの無公害化と品質面での低歪・表面改質による高精度化を実現する。 ■研究成果の目標 ■研究の目標 ① 焼入冷却初期段階で必要とされる臨界冷却速度の確保(新型焼入油でSCM420材に対し850℃→500℃温度域で臨界速度30℃/sec) ② 焼入冷却中期段階の等温均一化(ホットガス利用による) ±15℃ ③ 焼入冷却最終段階でのコールドガスによる常温までの冷却時間を1時間以内 ④ 上記3段階マルチ冷却制御による溶融塩マルクエンチ並みの最適冷却曲線を確立し、溶融塩冷却方式に対して、冷却曲線のズレ量を±10%以内とする ⑤ 溶融塩マルクエンチ処理で得られるのと同等の歯車精度の達成。現行オイルクエンチ法に比べて約1/2の歪み量である。 ⑥ ミクロ組織制御(15%以下の残留オーステナイト量)による低歪技術の実現 ■研究成果の概要 1.テストピースを使った冷却速度の実測により、適切な攪拌を行えば850℃→500℃領域での臨界冷却速度30℃/secは、SCM420材でも十分確保できることを確認した。併せてシミュレーションにても確認した。 2.新型焼入油の耐久性は、一般性状・冷却性能・赤外線分光分析による調査では現時点において顕著な劣化は認められていない。 3.冷却中期段階でのホットガスでの等温域の温度均一化目標±15℃を十分に達成することができた。 ホットガスによる等温域の温度制御の精度は目標値を十分クリアする±3℃が実現できていることを確認した。 4.冷却最終段階である等温化完了後から常温までの冷却時間は、目標の1H以内でできることを確認した。 ガス冷却用熱交換器へ冷却媒体である冷却水(約10℃)をチラー(冷水製造機)から供給し、冷却ファンの回転数を最大にセットすることで、約20℃まで40分で冷却することが出来た。 5.マルチ冷却制御による溶融塩マルクエンチ並みの最適冷却曲線の確立の確認は、実際の炉での確認に制約があるため、高精度のシミュレーションにて確認を行うこととした。このため実態に即した熱伝達係数を把握する目的で、テストピースでの焼入冷却過程の実体温度計測を新規の焼入試験機で実施した。この熱伝達係数をシミュレーションソフトで活用することで、新型油の能力評価や焼入油温度・攪拌の影響を比較できるようになった。溶融塩マルクエンチ並みの冷却曲線の確認はサンプルレベルで確認をした。 図1 新型浸炭マルクエンチ炉の全容 調査品 セット品 図2 熱処理歪み調査対象ハイポイドギア(外径220mm内径133mm単重5.8kg)のセット

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る