研究開発成果集(事業期間 平成18年度~平成20年度)
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37 迅速かつ効率的な微粒子合成に資する 高機能化学合成技術の開発 プロジェクト参画研究機関 独立行政法人産業技術総合研究所、日本大学、有限会社エスク、 株式会社ピュアロンジャパン 事業管理者 東成エレクトロビーム株式会社 ■研究開発の背景・目的 色素増感型太陽電池(DSC)は、現在主流のSi型太陽電池に対して発電効率では劣るものの、原料・装置導入コストが圧倒的に低く発電コストに優れることに加え、Si型にない特長(屋内などの微弱光下でも発電効率の低下が小さい、多色化が可能など)を有しており、次世代太陽電池として期待されている。実用化の鍵は、量産レベルでは現状5%強程度である光電変換効率や耐久性の向上である。本事業では、この変換効率の向上に寄与すると考えられる「色素の担持体である酸化チタン(TiO2)」および「透明電極材インジウム-スズ酸化物(ITO)」の微粒子合成技術の開発を、粒子サイズの微小化・均一化をキーワードとして実施する。TiO2に関しては、微小化により比表面積が増大することで、色素吸着量の増大が期待でき、ITOに関しては、省資源製膜法として期待されているインクジェット製膜法において、微小化・高分散化により高密度充填が可能になるためである。そこで、他の微粒子合成法に対して、これらの面で優れる超臨界水熱合成法を適用して技術開発を進める一方、これまで同法の課題とされてきた配管腐食等の課題を克服し、実用技術として確立することを目的とする。 ■研究成果の目標 ■研究の目標 臨界点(374℃、22.1MPa)を超えた温度・圧力を有する超臨界水を反応場に用いた酸化物微粒子合成を行う。常温から超臨界域まで急速に昇温することにより、急激な溶解度変化が起こるため、粒子成長が抑制され、合成粒子の微小化が実現できる。さらに流通式連続合成では、流路径1mm程度の細管内で合成するため、反応場の均一性が高く、合成微粒子も粒子径分布などのばらつきが小さくなる特長がある。一方で同法には、配管閉塞の危険性や、反応の副生成物として生じる強酸が高温高圧環境との相乗効果により装置配管類に深刻な腐食ダメージを与えるといった問題があった。従来の超臨界水熱合成事例の多くは、実用性に欠けるバッチ式合成を採用するなど、これらの課題に向き合ったものではなかった。 そこで、外側を高温高圧に耐えるSUS,インコネルなどの高強度合金、内面接液部をTi、Taなど高耐食材で構成する耐食二重構造を採用した配管・継手・圧力センサーといった小型デバイスを開発し、超臨界水+強酸環境において、配管等母材の腐食溶出を抑制でき、且つ十分な耐久性を実現することを目標とする。単体での基礎性能評価に加え、これらを搭載したコンパクトで操作性に優れた高耐食性超臨界水熱合成装置を試作し、実際の微粒子合成環境での実機評価を実施する。 微粒子合成に関しては、TiO2 、ITOを対象に、粒子径10nmオーダーで、サイズのばらつきが小さい微粒子を、実用的な流通式超臨界水熱合成法で作製するとともに、粒子径や結晶性などの制御因子を明らかにすることを目標とする。また、川下企業において、合成したTiO2微粒子を用いて実際にDSCを試作、評価していただき、その結果を合成条件にフィードバックすることで、市場ニーズに適合する微粒子供給を目指す。 ■研究成果の概要 耐食デバイスに関しては、耐食二重構造を有する配管・継手・圧力センサーを開発した(図1~3)。特に耐食継手において専用シール方式を開発することにより、耐食二重管と汎用方式継手の組み合わせでは抑制しきれなかった腐食溶出を、ほぼ完全に抑制することに成功した。耐久性についても合成温度・圧力での累積150時間超の腐食試験をクリアしている。また、本配管・継手を搭載した高耐食性合成装置を製作し、実際にTiO2微粒子合成試験に供しているが問題は発生していない。 一方、微粒子合成に関しては、TiO2微粒子合成において、合 図1 耐食二重構造配管(外径3.2mm内径1.5mm) (左:インコネル/Ta, 右:インコネル/Ti) エスク社開発 図2 耐食二重構造継手外観・断面(上)と 開発シール方式用に先端加工した耐食二重管(下) 東成エレクトロビーム開発 図3 耐食圧力センサー ダイヤフラム部 (外側ボディSUS316 内側接液部Ta) ピュアロン社開発

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