研究開発成果集(事業期間 平成18年度~平成20年度)
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15 燃料電池セパレータ板の成形技術開発 プロジェクト参画研究機関 株式会社FJコンポジット 事業管理者 株式会社FJコンポジット ■研究開発の背景・目的 燃料電池のコストの大半を占めるセパレータの低コスト化は、燃料電池の普及に与える影響は極めて大きい。現在使用されている炭素粉末と樹脂による複合材料は、コストの面で問題を抱えていた。そこで、その製造速度を100倍に上げることにより、現在数千円/枚しているセパレータ板を100円/枚以下のコストで製造する技術を開発する。 図1 燃料電池セルの構造 ■研究成果の目標 ■研究の目標 燃料電池は時代を担う動力源として期待されており、家庭用のコジェネレーションシステム、電気自動車の発電システム、モバイル用電子機器などの電力などの用途開発が盛んである。燃料電池本体は、固体高分子膜と呼ばれる樹脂フィルムの前後に白金触媒を担持するガス拡散層があり、その表裏に水素ガスと酸素ガス(空気)を供給すると共に、二つのガスが混じらないようにするものがセパレータ板である。 現在、セパレータ板はカーボン系と金属系の2種類の材料で検討が進んでいる。金属系は成形が容易であり大量生産も簡単であるが、将来的な材料コストの面で問題があること、および耐食性の面での信頼性が問題であった。一方、カーボン系は軽量で耐食性も問題が無いが、成形コストが高い問題があった。原料であるカーボン粉末は低コストの材料であるが、成形に1枚10分程度の時間を要することから、結果として高価な材料となり、燃料電池の普及を妨げていた。 そこで、本研究では強度、電気抵抗、ガスシール性などの基本的特性を満足しながら、カーボン系セパレータの低コスト化を図ることを目的に、成形速度を従来比100倍に上げた製造プロ説の開発を行い、市場性の高いセパレータ板を製作し、スタックメーカーに供給できる体制を確立することを目標とする。 ① 技術的目標 (A) 曲げ強度 60 MPa 以上 スタック組立時の締め付け力、自動車の振動などに耐え得る曲げ強度を発現する。 (B) 電気抵抗 10 mΩcm 以下 大電流による内部電気損失を低減するために、セパレータ板自身の電気抵抗を低減させる。 (C) 高速成形姓 プレス時間 6秒/枚 以下 製造コストに占める設備償却費、人件費などの数量により変動するコストをMin.にするために、生産速度をあげ、目標コスト100円/枚を達成する ② 事業化手法等 燃料電池全体の製造コストにおいて、セパレータ板の材料費が占める割合が圧倒的に多く、セパレータの製造コストを引き下げることは燃料電池の普及に大きな影響を与える。現在、燃料電池の普及は遅れており、その結果としてセパレータの需要も少ない。大量生産により大幅なコストダウンの出来るプロセスの開発は、燃料電池の量産化の起爆剤になる可能性が高い。 ■研究成果の概要 ① セパレータ物性の向上 カーボン粉末とフェノール樹脂を原料とするセパレータ板の検討を行った。電気抵抗を下げるためには出来るだけ樹脂量を少なく、一方でガスシール性を向上させるためには樹脂量が多い必要がある。このため、両者を満足するためには適当な樹脂配合が存在する。良好なカーボン粉末と樹脂の体積割合は80:20であった。この割合になるように、カーボン粉末一粒ずつにフェノール樹脂をコーティングする手法を用いて、樹脂とカーボンを混合することなく、単一材料を扱うのと同じ要領で扱える複合原料を使用した。この材料を用いて、金型に材料を仕込み、圧力だけで成形を行い、その後金型からサンプルを取り出し、加熱して製品に仕上げる製造プロセスを開発した。この方法によれば時間を要する熱反応を伴う工程を、プレス装置外で大量に処理できることから、極めて短時間に製造が可能なプロセスとなる。この方法で製造したセパレータの物性は、強度、ガスシール性、電気抵抗と全ての値において、本開発の目標物性をクリアした。本開発において製作したプレスモールドによるセパレータ写真を図2に示した。

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