平成27年度 ハンズオン支援事例集(専門家派遣制度)
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54“モノづくりの前に人づくり”という経営ポリシーの下、この2つが大きく成長上の一番のネック工程に着目し、全ての受注品についてその工程の負荷予測(山積み)と必要リードタイムを基にして、顧客の納期日から逆算して初工程の着手日を指示するものである。 従って、進捗に当ってはネック工程のみをウォッチしておけば良いというシンプルなものである。 導入に当っては、現状の業務フローの再点検〜ネック工程の明確化〜製品別・工程別加工基準時間(リードタイム)の設定等、工場側の協力も得て、「SDBR」のトライアル運用を実施し、その効果を検証した。その結果、トライアル期間中の納期遵守率は従来の50〜60%から80〜85%へと導入の効果が確認された。 本格導入に際しては、営業・製造・管理各部門が情報を共有するためのITハード面の整備が必要であること、及び突発割込み品にも対応して製作品の顧客への納期調整を行う営業の体制整備が必要な事から、本格導入は一旦保留することとなった。 この活動を進めていく過程で、ソフト面のシステム導入の効果を発揮させるためには、ネック工程をはじめとして現場の作業改善が重要であることが改めて認識され、この領域は工場改善を得意とするアドバイザーにバトンタッチをすることとした。 当支援の最大の成果は、納期遵守という共通目標の下に、SWOT分析・BSC(バランススコアカード)戦略マップ作成・BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)の検討等々、広く俯瞰的に物事を視ていくことの重要性、部門間連携の重要性が再認識されたことであり、CIO育成と共に当社の重要な礎となった。<専門家継続派遣事業①>(平成25年2月〜平成26年1月(1年)) 戦略的CIO育成支援事業が始まって半年が経過した時点で、納期遵守のためには現場の無駄を徹底的に排除し、生産性を向上させる必要があるとの当社と中小機構の共通認識の下、現場改善に精通したアドバイザーを派遣することとなった。 支援テーマは、1工場管理の基盤整備と生産性向上、2現場力の底上げ(人材育成と意識改革)と設定した。【このような雑然とした現場ではムダも見つからない・気が付かない】 アドバイザーは自ら作業服を着て現場に入り、先ずは3S(整理・整頓・躾)を徹底指導(“やって見せる”)した。作業服を真っ黒にしながら広島弁丸出しの現場現物での実践指導に、現場の熟練技能者も最初は少なからず戸惑いを隠せなかったが、現場が変っていく姿を目の当たりにするにつれ、3カ月経過した頃からプロジェクトメンバーや現場の人達の意識に変化が見えるようになってきた。【改善案がどんどん出てくるようになった】 アドバイザーが最初に言ったとおり、3Sが進んでくると“ムダが気になる”ようになってきた。アドバイザーからの指摘に加え、自分達からテーマを見つけ出し自ら改善する機運が芽生え始めてきた。 また、現場改善を進めると共に、工場の利益計画を策定し目標を持って業務を進める、所謂目標管理の仕組みづくりも進めた。【自分達も負けてはおれない】 改善活動を進めていた本社工場からやや離れた場所に鴨方工場があるが、変わり始めた本社工場の姿を見た鴨方工場長が「自分達もこのままではいけない」と挑戦意欲を前面に出してきた。当工場は、大型溶射設備を備えており減価償却費負担が大きく採算面では厳しい状態にあった。そこで、短期集中的に改善を進めるために「経営実務支援事業」を行うこととした。<経営実務支援事業>(平成26年4月〜平成26年8月(5カ月)) 鴨方工場は上記理由により本社工場に比較して利益率が低く、工場長は常に肩身の狭い思いをしていた。当社にとっても鴨方工場の収益改善は経営上も重要な課題であった。【支援前に短期決戦の作戦を練る】 目標は「売上総利益率の改善」であり、中国本部職員・プロジェクトマネージャー・担当チーフアドバイザーとで工場を訪問し、工場長との意見交換や工場視察を繰り返し“短期集中”の派遣計画書を担当アドバイザーと練り上げた。ポイントは、“改善ごっこ”に終わらせないこと、改善が継続する仕組みを残すこと、であった。【「KPI」の体系を全員が共有する】 売上総利益率を改善するための要因系の「KPI」とその関連をツリーで”見える化”させその要因系油木 正幸 中国本部プロジェクトマネージャー私達が支援をして最も感動することは、人が変わり、現場の景色が変わり、会社の姿が変わるということである。人材がいないとよく言われるが、トップの励ましと改善の場があれば必ず人は育つ。「人財」はいることを証明した事例である。

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