平成27年度 ハンズオン支援事例集(専門家派遣制度)
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50在庫削減を突破口に経営体質を強化、地域社会に信頼される食品スーパーへ中国本部が平成21年度から3年間中国経済産業局等と「サービス業生産性向上運動」に取組んだ際、小売業の支援で経営者、現場双方から厚い信頼を寄せられた方にお願いした。支援内容と支援成果<専門家継続派遣事業①>(平成25年12月〜平成26年11月) 最初に在庫の削減に取組んだ。資金負担の抑制、潜在的な損失防止、商品の鮮度向上など当社のB/S、P/L両面の改善に繋がるからである。具体的な改善対象は売上高の約25%を占めるドライ食品とした。 そして、在庫の実態把握から次のことが判明した。①商品が倉庫、陳列台の下部に散在し過剰在庫や欠品が発生しやすい状況にあること、②在庫がグロス管理になっていること、③商品の死に筋発見、改廃ルールが不明確なこと、④商品在庫に対する意識が低いことなどである。 さらに、在庫削減に向けた基本方針は、①回転期間目標を設定し(本店40日、宗像店25日)、②単品管理と金額管理を行い、③在庫情報の共有により全社の取組みとすることとした。 また、在庫削減の取組みに当たって、プロジェクトメンバー、商品発注・管理者になぜこの活動に取組むのかの説明会を設け、在庫を削減することが価値作業を増加させ、顧客満足と当社の付加価値額増加に繋がることを強調した。 こうして、具体的な活動として以下のことに取組んだ。①バックルームのレイアウトを見直す。動線を確保し定置管理を行なうためである。②商品管理表の活用による単品管理を実施する。③定番商品は本店一括仕入とし、在庫水準をコントロールする。④商品別回転期間目標を設定する。 この在庫削減活動は、取組み成果が次表のような数値と現物で明確になることからモチベーションが高まり良好な成果を上げた。在庫回転期間の推移(単位:日)25年3月期26年3月期27年3月期本 店42.738.737.1宗像店34.223.018.0 このように、回転期間の短縮と同時に増収増益を実現しており、機会損失を防止しつつ在庫削減が進展したと評価できる。 次に店舗業務の改善・効率化に取組んだ。 現状は収益力、財務内容ともに良好であるが競合店が増加しており、地元食品スーパーとして事業を継続するためには一層の経営体質強化が必須課題である。店舗業務の問題点は、①店舗の各部門担当者は在籍年月が長く、業務は属人的で非効率。②こうしたことから組織の壁がある。③上記から長時間労働に依存せざるを得ない状況にある、ということであった。 そこで、今までのやり方では明らかに限界があることから、業務の標準化・効率化により余力時間を作り、各部門で創意工夫する自律型業務運営を目指すこととし、目標値として、売上高/人・時、粗利益/人・時を設定した。初めての試みであることから、アップ率・額は設定せず、まずチャレンジとした。 ここでは、3つの視点から効率化に取組んだ。第1は多能工化の推進である。部門別に見ると繁閑にズレがあり、相互に応援することで実稼働時間をアップし人件費総額の抑制、社員の退社時間を早めようとするものである。 ただし、当初から社員に多能工化が理解されたわけではない。なぜやらなければならないのか、強い抵抗があった。理解が進み始めたのは、残業時間が目に見えて減少してきたこと、在庫削減の成果が上がりつつあったことなどプロジェクト活動の成果を体感することができたからである。第2は勤務時間管理の徹底である。取組みはシンプルで各自に終業予定時間を自主申告させ、時間を超過した場合は差異について面談したことである。時間的な制約のもとで仕増岡 洋 中国本部 統括プロジェクトマネージャー地域の中小食品スーパーが大手チェーン店と競合する中、経営改革に取組みながら高収益を実現した事例である。なぜそれが出来たのか。プロジェクトレビュー会で某店長が「社長が変わったから、私たちも変わった」と述べた。このことばが全てを物語っている。

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