ベンチャー企業の人材確保に関する調査
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- 91 - 事業の立ち上げ期に、専門性が高く即戦力である中途採用人材の力を結集したものの、組織としては必ずしもまとまっていたわけではなかったところ、IPOを経て社員数100人体制に近づき、生え抜きの新卒採用者も増えていくにつれ、人材確保にも組織管理の視点が取り入れられるようになったことが伺える。 その結果、組織にミドルマネージャが誕生し始めたわけだが、いまのところ、そのミドル層の活用には課題意識を持っておられるとのことだった。 「ミドルマネージャ層から、次の経営陣に上がってこられる人材を輩出するという部分が、いま気になっていますね。優秀なミドルは結構いるのですけれども、こういうふうに変化の激しい時代の中で、幹部のほうが動こうと言っても、彼ら・彼女らがその勢いとかについていききれない部分がある。そうはいっても、現業でコアになっている部分というのはそんなにスピードが速くはなく、そこのところを見ているミドル層も必要ですし・・・」 けして無理な急拡大を志向されているわけではないが、それでもベンチャーらしいダイナミックなバイタリティを保ちつつ、組織としての仕組みや動きも整備していくという狭間で、ミドルマネージャ層が苦闘していると言う面があるようだ。 ベンチャーらしい人材を求めて 人材確保に関して言えば、ケンコーコムはEコマース黎明期の代表的な企業であったため、当初から知名度には恵まれており、求人に対する応募自体はコンスタントにあったという。むしろ上場後に、「ベンチャーらしい人材」が確保しにくくなってきたとのことだった。 「IPOによって応募が増えたと言うことはないですね・・・むしろ上場する前のほうが、意図をもっている人、野望を持っている人、給料を下げてでももっと面白いことをやろうという人を採用できていた。上場以降は、本当にうちにぜひといって来てくれる、いろいろな価値観を持って来てくれる人はいいのですけれど、そうでない場合にはやはりとても採用しづらかった。当時、特にライブドアショックなどあって、ある程度そのポテンシャルが高い人はベンチャーに来なくなってしまって、それでなかなかポテンシャルの高い人が来づらくなった。かつ、野望というか、ある程度なんか面白いことをやってやろうという人というのは、例えばソーシャル系だとか、そのときそのときでよりホットなところに行ってしまうところがあるので、2008年ぐらいまでは結構、いい人も採れるのですけども、実は採用は相当にしんどい時期でした。」 このような現象は、言ってみれば会社がそれだけ成長している証左でもあろうが、社長としては痛し痒しのようだ。「しんどい」と仰る採用を、どんな風に進めておられたのだろうか。

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