ベンチャー企業の人材確保に関する調査
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- 67 - 米国で発展してきた採用選考の考え方に、リアリスティック・ジョブ・プレビュー(RJP)がある。これは、組織や仕事の実態について、良い面だけでなく悪い面も含めて、リアリズムに徹した情報を提供することで、個人の能動的な企業選択を促そうとするものである。「企業が人材を選ぶ」という視点から、「企業と個人が互いの適合性を見極めて選び合うこと」への視点の転換がある。日本でも2007年10月の雇用対策法改正で、「青少年が、採用後の職場の実態と入社前の情報に格差を感じることのないよう、業務内容、勤務条件、職場で求められる能力・資質、キャリア形成などについての情報を明示すること」が事業主の努力義務と定められており26、RJPの考え方による採用活動は新規なものでも概念的なものでもなく、採用活動の本来あるべき姿なのである。 これまでの伝統的なリクルーティングと、RJPの考え方に基づくリクルーティングの違いは次の通りである(図表 3-7)。 図表 3-7 伝統的リクルーティングとRJPに基づくリクルーティングの違い 当初の職務への期待を高めに設定(会社や仕事について、いいことを中心に語る)職務が魅力的なものに見える内定を受ける率が高い実際の仕事現場で期待が裏切られる職務が欲求に適合していないと認識【不満足】職務への期待を現実的に設定(会社や仕事について、ネガティブなこともきちんと語る)職務は、各個人の欲求に応じて魅力的であるかもしれないし、そうでないかもしれない内定を受ける人もいるし、断る人もいる実際の仕事現場で期待が確認される欲求が職務に適合している【満足】低い定着率高い定着率伝統的リクルーティングRJPに基づくリクルーティング当初の職務への期待を高めに設定(会社や仕事について、いいことを中心に語る)職務が魅力的なものに見える内定を受ける率が高い実際の仕事現場で期待が裏切られる職務が欲求に適合していないと認識【不満足】職務への期待を現実的に設定(会社や仕事について、ネガティブなこともきちんと語る)職務は、各個人の欲求に応じて魅力的であるかもしれないし、そうでないかもしれない内定を受ける人もいるし、断る人もいる実際の仕事現場で期待が確認される欲求が職務に適合している【満足】低い定着率高い定着率伝統的リクルーティングRJPに基づくリクルーティング (資料)金井嘉宏(1994) エントリー・マネジメントと日本企業のRJP指向性 – 先行研究のレビューと予備的実証研究 神戸大学経営学・会計学・商学研究年報 p1より筆者作成 26 堀田聡子 (2007) 採用時点におけるミスマッチを軽減する採用のあり方 RJPをてがかりにして 日本労働研究雑誌 567号(2007年10月)p60

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