ベンチャー企業の人材確保に関する調査
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- 63 - ある種の人々から強い支持をとりつける一方で、それ以外の部分では社会常識に乗っ取っ た行動様式をとることで、世間一般からも承認を受けるという、いわば「二重戦術」を採ることが多いという24。ワイキューブの事例においても、一般的ではない採用手法を採ることで、ある種の資質を持った応募者を熱狂的に引きつけることに成功しているといえる。このような採用戦術をとることができるのは、ベンチャー企業ならではの強みであるといえるだろう。同時に、オーソドックスかつ丁寧に作り込まれた同社のコーポレイト・サイトを見れば、同社がけして風変わりなわけではなく、むしろ社会常識に合致した、正当性の高い組織であることが了解できるであろう25。 3.2.4. 採用ブランド 一般にブランドと言えば、商品などに関して、名前を聞いただけでイメージできる特長や利点、ステイタスのことで、そのイメージからわくわくしたもの、類似商品との違いを感じ、「ぜひ購入してみたい」と思わせるような魅力のことを言う。 人材採用においても、企業名を聞いただけで、ポジティブなイメージが喚起され、入社してみたいと思わせるような魅力を持つ企業を「採用ブランドが高い企業」と呼ぶことがある。今回の取材先にも、企業名だけで何万人もの学生の応募を受けるような「採用ブランド」の高い企業が見られた。 もっとも、どの企業も最初から採用ブランドが高いわけではない。そのような企業はやはり、しかるべき手を打っていたことが伺えた。 新卒学生に対する「採用担当者と接して好感が持てた企業」についての調査で1位を獲得した「ノバレーゼ」では、採用時期には全社一丸となって、個々の学生と向き合う採用業務を展開している。 24 金井、前掲 25 Williamson, I.O., Cable D., Aldrich H. (2002), Smaller But Not Necessarily Weaker: How Small Businesses Can Overcome Barriers to Recruitment, Managing People in Entrepreneurial Organizations, Vol.5, p83-106 人セミナーと言った)従来型の広告を使用するのは時間と資金の全くの無駄使いである」と断じ、「双方向の対話プロセスを採用すべきだ」と述べている。優秀なデジタルネイティブ世代の候補者を引きつけるためには、ソーシャル・ネットワークで候補者個人にアプローチし、情報交換を行い、人間関係作りから始めるべきだという。また選考に際しては、お試し雇用などの期間をおいて、フルタイム雇用に適しているかを確認することが重要だという。 なお、おおむね「76世代」「86世代」の人たちを「デジタル・ネイティブ」、96世代近辺の人たちを「ネオ・デジタルネイティブ」などと呼ぶこともある。

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