ベンチャー企業の人材確保に関する調査
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- 45 - やり方・考え方は企業によりさまざまであるとしても、そこにはまず、その会社なりの「人材観」と、それを裏打ちする選考や人材育成等の仕組みが存在することが見て取れる。 このほかにも、「アプレッソ」社事例では、「プログラマー」と言う仕事を、いわばものつくりの職人として再定義し、普段からブログやツイッターでつながっている技術者同士のネットワークに問いかけることで、採用を完結させている。また「平成建設」事例では、「大工」と言う仕事を魅力的に再定義して、従来の典型的なキャリアコースに飽き足らない建築学部卒業生を引きつけてやまない。いずれも、人材確保の理由と対象がはっきりと限定されていて、かつ新たに発見されている。このような点も、成功事例から分析できる特長の一つではないかと思う。 「優秀な人間を採用したい」「仕事が出来る人間を採れ」「元気のある人が欲しい」といった曖昧な定義では、第一象限にいる人材を待ち続けるしか打ち手が無くなる。しかしながら、ベンチャー企業に偶然にそのような人材が入社してくることはあまりないので、結局八方ふさがりとなって人材確保が行き詰まる。たしかに、第一象限以外に分布する人材を採用すると、入社後の育成などにコストがかかってしまうであろう。しかし、今回の調査を通じて、人材確保に成功している企業は、何かの不足のために労働市場では過小評価されているが、自社の事業では光ることが出来る、という人材を探していることがわかった。さらに、手の込んだ選考プロセスや、入社後に続く教育体系を、コストではなく投資であると考えているようであった。中小企業向けに採用コンサルティングを提供するワイキューブの安田佳生社長は著書13の中で次のように述べている。 結局、大企業比で知名度が低く、人材確保で不利な立場に置かれているベンチャー企業にとっては、「どんな人材を求めるか」「どのようなターゲットに、どのような方法でアプローチするか」「能力等の不足部分について、育成や配属を通じてどのようにカバーしていくのか」といった一連の活動について、より意識的・戦略的な考え方を持つ必要があるのである。 平成建設の秋元社長は次のようにコメントしていた。 「ベンチャー企業が即戦力を欲しいというのは当たり前の話で、できる人間をそのまま使いましょうと言っているのだから、虫がいい話なのですよ(笑)。企業は人を育てる場所で 13 安田 佳生(2004) 採用の超プロが教える 伸ばす社長つぶす社長 サンマーク出版 (2004/10) まず先に投資をし、後から回収する。それが経営だ・・・採用も全くそれと同じだ。本当によい人材を採りたいと思うなら、先に投資をしなければならない・・・こうしたことは投資である以上、「リスク」を伴う・・・リスクを負っているからこそ、自社に必要な人材はどのような人なのか、そのような人材を採るためにはどのようなアプローチが最も有効なのかと、真剣に戦略を考え、実行する。

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