ベンチャー企業の人材確保に関する調査
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- 8 - そこに「個別のストーリー」こそあれ、今回の調査範囲では、それ以上分析すべきリサーチ・クエスチョンを建てるには至らなかった。さらに複数の学識者からも、創業期特有の人材確保問題に焦点を当てた先行研究は存在しないとのアドバイスも受けた。この点、今回それなりのエネルギーを割いて検討したところではあったが、今後の研究に委ねたい。 ヒアリング調査を進めるにつれて判明したことは、創業期の役員等に関してはむしろ、創業期から成長期に会社がモードチェンジしていくにあたって、多くの会社で役員クラスの創業メンバーの交代や刷新が必要となる、ということであった。なかには、たとえば社長の昔からの知人である役員に退いてもらうという、大変厳しい経験を経ているケースもあったが、その後成長している企業では、このような痛みの伴う役員交代劇に、逃げることなくしっかりと取り組んでいるように観察された。このような点も、さらに調査を深められれば興味深いところではあったが、今回の「人材確保」のテーマからはやや逸脱することと、デリケートな内容でもあり均質なヒアリング結果が確保できなかったことから、今回はまとめることができなかった。 (2)については、創業期を抜け成長期に至っている、今回の調査対象であるベンチャー企業であっても、うまくいっている事例を見いだすことは出来なかった。というよりもむしろ、ミドルマネージャの確保問題は、成長期から成熟していく過程で組織が開発されていく企業特有の、構造的な問題であるようであった。ある採用コンサルタントは、そもそも良いミドルマネージャは転職市場できわめて希少であると述べた。ともあれ、今回のヒアリング対象企業からは、問題の抽出は出来ても、解決への示唆が直接得られるわけではないと判断せざるをえなかった。 1.5. 調査研究体制について 本調査研究に際しては、当機構ナレッジアソシエイトである東京富士大学の青山和正教授、武蔵大学経済学部の高橋徳行教授をアドバイザーとして仰ぎ、適宜助言や情報提供、資料提供などを受けた。 また、株式会社ヘッドクォーター代表取締役の山内英二郎氏、独立行政法人中小企業基盤整備機構新事業支援部の統括プロジェクトマネージャ、西澤民夫氏からも、助言を受けた。 1.6. ベンチャー企業の人材確保上の課題 ベンチャー企業が成長していくに当たり、技術や資金と並んで人材は重要な経営資源である。経営上の課題として、人材確保を挙げるベンチャー企業は多い(図表 1-4)。そして実際にベンチャー企業の人材充足率は不十分であることが多い(図表 1-5)。

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