ベンチャー企業の人材確保に関する調査
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- 106 - 後輩ベンチャーへのアドバイス 最後に、これから成長してくるベンチャー企業へのアドバイスを伺った。 「私は、「ベンチャーは企業を目指せ!家業になるな!」といいたい。ベンチャーといえども、自分のことばかり考えている連中が多いですよ。そんなのは企業としておかしなわけでね。だって企業はヒト・モノ・カネ・信用ですから。株式上場だけを目的とした「カネ」の会社は上場したとたんに業績が悪くなる。それは当たり前の話ですよ、「ヒト」がガタガタになって、内部崩壊しますから。 モノをつくるだけが仕事ではない、人集めをするのも仕事なんです。募集しても人が来ないというけれど、募集って、何を指して言っているのか。合同説明会にブースを出したから募集とは限らないですよ。魅力のないブースでは、買ってくれる人なんていませんよ。 経営者がよく言います、「うちのやつらは使えない、使えないやつばかりだ」と。でもそれは、あなたが使えないから、そういうやつしか来ないのだと(笑)。社長が変われば、人も変わります。そんなものですよ、社長の器ぐらいしか、人は来ないのですよ。」 インタビュー後記 長期的観点に立ち、バランスを考え、カルチャーを考え、ヒトを育てると言うことを考える・・・経営理念の実践に基づく秋元社長の厳しくも優しい、奥深い言葉にすっかり魅了されてしまった。「大工」を内部で育成するという、建築業界で例外的な取り組みは、人材の確保と育成を成功させているだけではない。同社の年商は一貫して成長、利益率も同業他社比で明らかに上回っているのだ。その経営方針は、一企業の枠を超えて、日本の伝統文化の維持・発展にまで寄与しているように思う。そして、建築業という古い業種にあって、さらに古いコンセプトをとりあげているのに、若者を引きつけるその新しさは、まさにベンチャー企業そのものだと感じられた。 秋元社長のお話を伺っていると、人材ほど、ローリスクでロングリターンな投資先はないのではないかという気がしてくる。そして凄い会社だから人が入るのではなく、人が入るから凄い会社になるのだということがよくわかる。同社の職人の8割が大卒・院卒であり、高学歴の女性も多数、現場で汗を流して仕事をしている。10年後にどんなパワフルな会社になっていることだろうか。 秋元社長が出演されたテレビ番組「カンブリア宮殿」では、若い大工が、建築現場を訪ねてきた施主と、楽しそうに会話を交わしている様子が映し出されていた。現場の大工が自分で全責任をおっているので、施主への心遣いへの感度が高いのである。建築現場には

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