ベンチャー企業の人材確保に関する調査
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- 103 - けれど、ただの技能工としては一人前の1年生になれるというだけのことです。図面を描いたり、ある程度、監督の真似ごとができるようにするには相当時間がかかるでしょう。環境を与えても、一生できない者も出てくるでしょう。 その部分だけを見ていたら、経営は成り立たないですよ。儲かる部門があって、育てられる分野ができるわけですよ。長期的な展望に立って、トータルで見ないと、企業というのは意味がないでしょ。長期的な展望に立てば、このままではいずれ、大工はいなくなるのですから、絶対に勝利するはずなのですよ。」 国勢調査によると、85年に約80万人いた大工は、05年には約53万人に減少した。調査当時の平均年齢は48.7歳で、年代別に見ると50歳代に大きく偏っている34。なお、これは型枠大工や一般の作業員まで入った数字であって、現実に造作大工仕事ができる職人はさらに少ない。実際はこの数字の三分の一以下だろうと見られている。 経営者は自ら語れ 「大工」の意味を再定義し、昔ながらの価値を取り戻すことを訴え続けたと仰る秋元社長は、実際に講演や執筆、テレビ出演などを通じて、繰り返し情報提供を行ってこられた。現在、学生の人気企業になったのもそこに一因があると思われる。 「普通の中小企業で経営者が表に出ない、言葉がないというのは、これは論外ですよ、中小企業ですからね、社長の顔がわからないような会社には僕なら入りたくない。 ベンチャーには、人をとるという考え方がないとダメです。ものをとるのではなく、人をとるのです。だから語るということが一番必要ですよね。お互いに語らないと、うまくいかないでしょう。ましてや中途採用なんていったら絶対ですよ。新卒の場合はなかなか学生が語れないようなこともあるでしょうけれど。 それから情報が多過ぎて、つまり逆にいろいろな情報がありすぎても参っちゃうでしょ。昔みたいに、むしろ情報が少ないから迷わないで、「もういいか、ここで」となったり、「親が決めたからいいや」とか、「先輩にご飯をご馳走になったからいこうかな」とか、そういう時代ではないです。学生同士のネットワークもあれば、先輩のネットワークもあれば、もうありとあらゆるネットワークがあるので。」 たしかに、インターネット上には夥しい就活情報が日々乱れ飛んでいる。なかには、誤解に基づく印象論や、おもしろ半分のネガティブ情報も見られる。秋元社長の仰るとおり、経営者自らが、自分の言葉で、会社や経営をしっかりと語るということは、単なる情報提 34 「新教育の森:徒弟制度に代わり、大学が「職人」育成」、毎日新聞2009年12月19日、朝刊11ページ

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