ベンチャー企業の人材確保に関する調査
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- 101 - 「昔だったら、頭のいい人たちが大工や職人になっていくわけですよ。そして大工や職人の中で優秀な人が図面を描いたり、監督をして、ひとつのものを作り上げた。オールラウンドプレーヤーなのですね。それが、戦後膨大な量の建築をやるようになって、だんだん工業化・分業化が進んでしまった。 分業化が進み過ぎた結果、大工や職人を育てる組織がなくなってしまった。分業が進むということは、元請けからみれば、どんどん下請けに出すということです。だから結果的に、大工や職人を育てる仕組みがなくなった。それなら自分でやろうと思って平成建設を創立したのですね。 職人にはいろいろな職種があるのだけれど、総括して大工がまとめ役なのですね。いまの大工さんたちは大工であって大工であらずの人たちばかりになってしまった。大手ハウスメーカーの下請けをやっているような人は、大工と言うより単能工なのです。単能工だったら別に大学なんか出る必要ないのですよ。大工は頭がよくなければできない。教養も必要だし、マネジメントも出来ないといけない。だから大工を採用するには、結果的に、高学歴になってしまうわけですよ。世間の常識的な物差しで測れば、なんでこんな高学歴がくるのと思われるでしょうけれど。」 家の建築現場で、元請けの顔色ばかり見ている大工が施主の顔も知らない。あるいは、現場を見に来た施主の質問や要望に応えられない・・・平成建設設立以前、ハウスメーカーで営業をなさっていた頃にそんな光景を見てきた秋元社長は、この業界でも珍しい「内製化」の建築会社を作ろうと決意なさったのだという。 かつての建築現場は、大工の棟梁を頂点として、その下に大工や職人、さらにその下に大工や職人の手元となる作業員がいました。下に行くほど人数が多くなり、ちょうどピラミッドのような形をしているのです。 大工というのは現場のトップを指します。ひとことでいうと、大工仕事はもちろん、設計もできて、図面も引けて、現場の監督もできて、さらに弟子を育てられる人のこと。オールマイティに何でもできる人のことです。 大工は本来、文字通り「工」の最高峰でした。お寺もできる、神社もできる、書院造りもできる、数寄屋造りもできる。非常にスキルの高い超エリートだったのです。IQが高くなければ、とうてい務まりません。 幅広い知恵と教養・知識、直感的な計算能力、美的センス、全体像を見通すバランス感覚、人を率いるマネジメント力、人間的な魅力など、すべてを備えていないととうていできる仕事ではありません。

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