ベンチャー企業の人材確保に関する調査
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- 7 - う狙いを込めている。 1.4. 調査課題の絞り込みの過程について 「ベンチャー企業の人材確保」というテーマは、さらにさまざまな局面やアングルを内包しており、調査に当たっては、スコープを絞り込む必要があった。「モチベーション」や「コミュニケーション」といった、「ヒトが働くこと」に関する主要な鍵変数そのものは、企業規模によって変わってくるものだとは考えられなかったが、後述の通りベンチャーにはベンチャーならではの制約要件や課題が存在する。その制約条件が、人材確保や人事マネジメントにどのような影響を与えているのかについては、先行研究も乏しく、ヒアリング調査を通じて抽出していくしかなかった。厳しいIPO環境・買い手市場の労働市場という現下の状況もできるだけ踏まえたいと考えた。 このため本調査研究は、強度に探索発見的に進められた。ある程度調査を進めたら、そこまでの調査成果を振り返り、リサーチ・クエスチョンを少し絞り込んでは、学識経験者のフィードバックを仰いで軌道修正しながら進めていった。 当初より大枠で想定していた調査のスコープは次のようであった。 (1)ベンチャー創業期における、コア人材(役員、右腕社員等)の確保 (2)成長期における、第二陣のコア人材(役員、ミドルマネージャ)の確保。 (3)成長期における、一般社員の確保 十数社のヒアリングを行った結果、結論から言えば、今回は(3)を調査スコープとして設定することとしたわけである。 (1)については、当初重みをかけて興味を持っていたところである。ベンチャーとはあくまでも創業期の企業を言う、との論を立てる向きもある。ワークスアプリケーションズの牧野正幸CEOは「優秀なベンチャーの条件とは、ルーチン化しなくても仕事を回せるかどうかである」8と論じているが、たしかにマネジメントの仕組みが導入されたとたんに、前例踏襲型のルーチンワークが発生することは事実であり、そのことはそもそものベンチャーのイメージとは相反することとなる。狭義のベンチャーらしさにこだわるのであれば、(1)の調査スコープが適切なのではないかと思われた。しかしながら、創業期の人材確保活動とは、その定義からしても、あるいは今回のヒアリング結果を踏まえても、起業家が主観的・属人的かつインフォーマルに、ケース・バイ・ケースで行っている場合がほとんどで、その手法は要するに「人脈を通じて引っ張ってくる」ことに尽きるようであった。 8 企業家倶楽部(2008年8月号)「企業家賞審査委員・受賞者対談:IPOはゴールではなくスタートライン、企業家賞審査委員 一橋大学イノベーション研究センター長 米倉誠一郎×第5回企業家賞受賞者 ワークスアプリケーションズCEO 牧野正幸」p32

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