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第14回「パッティングとバッティング」

3月の執筆者は、チーフアドバイザー(技術) 山本 茂之です。

「パッティングとバッティング」

 仕事でも、またプライベートでもパソコンは手放せません。ほぼ毎日、何某かの情報を求めて、またコミュニケーションのために使います。しかし、歳をとってくると目がおぼつかなくなって来て、画面上の文字の識別に苦労することになります。

 その代表は、例えば「パピプペポ」と「バビブベボ」。いわゆる半濁音と濁音です。大きな字体で表示するようにすれば、その識別は何の苦もなく簡単に出来ます。しかし、ネットのブラウザで見る時は、字体(MSゴシックなど)とその大きさによっては苦労を重ねることになります。つまり、半濁音を表す半濁点(まる、ユニコードU+309C)は小さな二つの短い線が濁音を表す濁点(ちょんちょん・てんてん、ユニコードU+309B)とは表示方向(角度)が違って表示されるだけで、「まる」ではなく少しタテ向きの「ちょんちょん」にしか見えず、半濁音なのか濁音なのかを識別するのは容易ではありません。

 半濁音はこの他に「ピャピュピョ」があるだけで、全部で8文字しかありませんが、濁音は「ガギグゲゴ」等20文字と、それに類する「ギャギュギョ」等の拗音30文字があり、いずれにしても圧倒的に濁音の方が多い。

 したがって、有名人の名前、国名、都市名、モノなど読み方が容易に連想出来そうなものは別として、ついつい濁音として読んでしまいがちです。読み間違えにくい国名の例では、例えば「ボルトガル」と見えても、頭の中では「ポルトガル」と読み替えています。それならば同じ理屈でということで、「バリ」を「パリ」と読み替えてしまうと、とんでもない間違いに繋がることになります。あまり聞き慣れない例では、「クロパトキン」なのか「クロバトキン」なのか、「グリッペンベルグ」なのか「グリッベンベルグ」なのか、識別に時間がかかります。

 一方、書籍の字体(活字)はどんなに小さなものでも半濁音と濁音は、「まる」と「ちょんちょん」で正しく表記してあります。「まる」と「ちょんちょん」の識別は、線(ちょんちょん)の表示方向の識別よりは迅速に正確に行えます。パソコンで小説を読むよりも現物の書籍を読む方が、実際に速く読めるのは間違いありません。

 「パッティング」を「バッティング」と読んでしまっては、まるでトンチンカン。「石川遼選手が野球選手にトラバーユしたの?」となってしまいます。二つの代表的な人気スポーツの中核的用語が切れない糸で繋がっているのは実に奥深い。

 「パッティング」も「バッティング」もそれぞれ、パットすること、バットすること、という意味の動名詞的な使い方ですが、元々「パット」には「軽く打つ、なでる」の意味があり、「バット」には「バット(棒)で(強く)打つ」の意味があります。3パットで悩まれているゴルファーは、強く打つのではなく、言葉の本来の意味に戻って、軽く、なでるように打つことをお勧めします。「パット」のパの「まる」は卵と思えば、なでるようにストローク出来るでしょう。

 パットの語尾にerを付けたパターはパッティングする道具を意味しますが、バットにerを付けたバッターは打つ人を意味します。このあたり、整合性がとれていなくて釈然としません。

 パッティングの名手と言われる青木功プロは、必ず「スリーパターしましたね」と解説します。これは「スリーパットしましたね」が正確な表現だと思いますが、英語に堪能なあの戸張捷氏ですら、テレビでの青木功プロのこの解説には異論を唱えません。この時は、「スリーバットしましたね」と解説したら面白い。

 この拙文が、ホームページ上で「パッティングとバッティング」と見えるか、「バッティングとバッティング」と見えるか、実に楽しみです。今日もまた、「パ」なのか、「バ」なのか、目をしばたいてパソコン画面との闘いです。 

                                   

チーフアドバイザー(技術)山本茂之