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第13回「平成21年度中国地域中小企業知財戦略支援モデル事業を終えて」

2月の執筆者は、チーフアドバイザー(知財)桑原 良弘です。

「平成21年度中国地域中小企業知財戦略支援モデル事業を終えて」

  昨年7月より開始した平成21年度知財戦略支援事業が12月に無事報告会を終えることができた。このような知財戦略支援はかれこれ18年ほど前から携わっているが、行政支援においては、特許庁の委託を受けて中小機構本部の委員として平成20年に参画した知的財産戦略マニュアル (http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/torikumi/chushou/manual_tizaikeiei.htm(新規ウィンドウに表示))になる。このマニュアルは知財戦略にできるだけとっつきやすく、理解を深めやすくし、更に利用者が持って歩くのに便利なように工夫をしている。製品開発の流れに沿って知財にかかる課題を追え、問題解決の糸口を見つけやすいように事例中心にQ&A方式にまとめている、もちろんこのマニュアルだけでは知財戦略を完全に構築できるものではないが、最良の対応を図るための参考となるようまとめた。このマニュアル制作はちょうど特許庁が知財戦略支援事業を推進した時期にあたる。

  このことから政策実現にあわせてマニュアルの実践を図ることも鑑み、中国経済産業局特許室と社団法人発明協会広島支部とともに行ったのが中国地域知財戦略支援事業である。この支援事業は平成19年から始まり、開始当初から支援機関アドバイザー・弁理士・弁護士・中小企業診断士等でチームを構成し、多方面からの検討ができるように配慮した。

 

  開始当初は特許調査と特許出願戦略の検討を行い、平成20年度からは筆者が委員長に就任し支援事業を推進してきた。この年は3社の企業を支援し、特許マップによる商品開発戦略構築、侵害対応マニュアル、特許実施契約の基本などについて支援チームを取りまとめた。

  今年度は2社に対してより経営の視点に立った知財戦略構築を狙い、新たにQFD (Quality Function Development: 品質機能展開)を応用した知財戦略分析ツールを開発し、支援人材・支援企業が同じ指標を持てるようにした。このQFDツールを活用し、顧客ニーズと展開市場にあった無駄の無い知財戦略の構築を目指した。この手法により事業戦略・研究開発戦略・知財戦略を同時に分析・検討することができた。

 

  このように3年にわたり地域における知財戦略支援を進めてきたが、知財戦略は網羅的な特許を出願すればよいと考えられがちであった。しかしながら、ノウハウの流出や特許出願経費を考えれば、経営的な視点に立ち必要な知財を適切な方法で確立することが重要であることを強く認識するに至った。 

  知的財産の管理とともにオープンイノベーションといった戦略的な知財活用が注目されている中で、知的財産が経営戦略と一体的に考えられることは企業の大小や業種に関わらず必要である。技術部門だけでなく営業部門、経営企画部門といったビジネスにかかるすべての部門が連動していくことが強い知的財産を創出し、リスクを低減し、士気の高い活力ある企業になるものと考える。

 

執筆:チーフアドバイザー(知財) 桑原 良弘