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第96回「上手くいったこと」

  • 1月の執筆者はコーディネーター(ものづくり)大村卓一です。

    「上手くいったこと」

    先日、ゴルフでよいスコア―が出たので、友人に報告したところ、何が良かったの?

    と聞かれ、返事に窮して、「パットが良かった」と出まかせが口を突いて出てゆきました。

    しかし、何がうまくいったのだろう? 
    なんで悪かったの?と聞かれると(聞かれなくても)、OBを5つも叩いたからなー。
    ピンの位置が難しくて、3パットを3回もやっちゃった。
    シャンクが止まらなくてバンカーに砂がなくて、脱出するのに4回も叩いたよ各ホールあんなに待たされてすっかりリズムが狂ってしまった・・・・・

    自分のせいなのに、弁解やアンラッキーのせいにする言葉がすぐ口をついて出てくる。
    なぜうまくいったのと聞かれることはあまりないし自慢話は聞きたくないだろうと思うのであまり深堀してみることはなかったのだけれど今回は少しまじめに考えてみようと思いました。

    パットが良かったと言ったのは2メートルくらいのフックラインがうまく打ててバーディーになったのが強く印象に残っていたからなのだけれど、トータルのパット数は普段と同じだった。じっくりスコアカードを観るとグリーン周りからのPWやAW、SWを使ったショットがかなり少なかったという事実が判ってきた。ということはショットが良かったのだ。

    ではそのショットがどうよかったのか?

    それは企業秘密といえば格好がいいのだけれど確たる自覚はない。しかし、別人がやったわけではないのできっと普段との違いはあったはず。それが判り、再現できるようになれば私はゴルフという遊びにおいてこれまでとは違った次元に入れるのだ。それが判らなければまた数年先に廻ってくるかもしれないラッキーの塊に遭遇するのを待つだけということになる。そんなことがないようこれからは「何が良かったのか」が判るような記録を取ってゆこうと、酉年の新年に密かに誓いを立てている。

    ゴルフというのは難しいスポーツだ。
    100ヤード先のピンを狙ったショットで、クラブ面がピンに対し水平方向に12度ずれただけで、ナイスショットでも落下位置は24ヤードずれる。それだけズレるとグリーンオンは難しい。12度というのは時計の文字盤で12時2分の時の長針と短針のなす角度です。ゴルフでは決して遠い距離ではない100ヤード地点からピンそばにボールを乗せようとするとそれだけの精度が求められるのです。さらに垂直方向の角度も当然問われます。ボールをヒットするまでのフェースの速度を含めた軌跡のズレがボールの落下点を変化させます。こちらのずれの方が大きいのです。

    さらに、小枝が絶えず動くくらいの向い風(風力3という3-5m/secくらい)が吹いていたらどうなるか?

    200ヤードくらいのドライバーショットは190ヤードくらいまでしか届かない、というデータが報告されています。風の影響はドライバーショットより100ヤードのアプローチショットの方がズレは大きくなります。滞空時間が長いから。

    その日はこんな数値にすべて対応しながらショットを打っていたのだろうか?
    否である。体幹を鍛えた体なら再現良く構えられるだろが膝や腰に不安を抱えている体ではちょっと難しい。しかし何かの違いがあったはず。その日は少し風邪気味で、年末に向け予定がぎっしり詰まっており寝込むのは避けたいという思いが強かったので、スコアより防寒対策と極力カートに乗りフルショットはしないぞという疲労対策で頭がいっぱいでした。お陰で、いつもはラウンドした翌日くらいに出てくる筋肉痛を経験しませんでした。これだったのですね多分。その日のスコア―が良かったのは。

    いつもはラウンドする時、パット以外は全てフルショットしていたのです。それがボールとクラブフェースとの微妙な位置関係を一定に保たせにくかった原因だったのでしょう。全てのショットに最高のアウトプットを期待し全力をぶつけてショットして70%の結果を得ていたのですが、初めから80%を狙って80%を期待したほうが達成率は高まるということだったのです。これまでも力を抜いて打とうと心掛けることもよくあったのですが、ボールを前にするとそれが吹き飛んでしまい、“あ、またやっちゃった”という結果を招いていました。少し余裕を持ったスウィングをすることによって軌道が安定し一定の位置関係が保たれたのだと思います。

    この仮説が正しければ次回以降のラウンドは期待できるはずです。同じ気持ちでやればスコア―は良くなるはずなのですから。できるのかな?

    長年、エレクトロニクスデバイスの開発とものづくりを解析という立場で支援していましたが不良解析という対応が多かった。「どうしてうまくいった?」のという良品解析という見方の大切さに気付いていればよかったのに。

    ものづくり支援コーディネータ 大村 卓一

    ※このコラムは2017年1月11日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.124」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。