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第92回「家内のホコリと家内のシワ」

  • 9月の執筆者はチーフアドバイザー「技術」山本茂之です。

    「家内のホコリと家内のシワ」

    最近、グリーン上でのパッティングラインが、めっきり読めなくなってきました。
    視力が落ちて来たせいなのか、微妙な凹凸や、長いスケールでの傾斜の度合い等が読み難くなってきたのです。打った球の落ちどころを、明確に見極めることも難しくなってきています。白内障かな、とも思いますが、そうではなさそうなので、安心はしているのですが・・・。

    白内障は、目の一部を構成する水晶体が白っぽく濁ってしまい、視界が暗くなったり、白っぽく霞んで見えたり、夜間に光が眩しく見えたりする、等の症状が出る目の病気です。

    水晶体は光学系の凸レンズの役目をしています。直径が9mm程度、厚さが4mm程度の大きさで、近くを見る時は毛様体筋が収縮し、毛様体小帯(水晶体に繋がっている細い線維)が弛緩することで厚くなります。逆に、遠くを見る時は毛様体筋が弛緩し、毛様体小帯が引っ張られることで薄くなります。このように、レンズの厚さを変化させて、遠近にピントを合わせることが出来るようになっています。

    本来透明なはずの、この水晶体が濁ってしまうと、水晶体内で光が散乱するために、目が霞む、明るいところで眩しくて物が見えにくい、眼鏡をかけても見えにくい、等の症状が現れ、結果として視力低下が起きます。

    同じ白内障でも、水晶体のどの部分が濁るかによって、症状も違ってきます。水晶体の表面(光が入る側)が濁る場合は、視力は保たれたままで眩しさと霞を訴える人が多いのですが、水晶体の後側(眼球の奥に近い部分)が濁る場合は、視力が低下する症状が出ることが多いそうです。

    水晶体の濁りは、水晶体を構成するタンパク質の変性によるものです。このようになってしまうのは、加齢によるものが多く(95%以上)、ある種の老化現象とも言えます。その他、過度に紫外線を浴びること、ステロイド剤の長期服用、糖尿病からの併発、等でも引き起こされる、と言われています。

    白内障の治療は、薬か手術ですが、前者は予防と症状の進行抑制のためで、以前のような視力が回復するものではありません。後者は日常生活に支障が出るようになった場合に、以前の視力に戻そうとする目的で行われるものです。

    白内障の手術は、濁った水晶体を取り除き、人工の水晶体(眼内レンズ、一般的にはアクリル素材)に置き換えるというものです。目の一部をえぐり取られそうで、一見怖そうに思えますが、白内障の手術は年間で140万症例もの件数があり、外科的手術の中ではポピュラーな部類の手術です。手術時間は、普通10分〜20分程度です。日帰り手術が45%程度、数日の入院手術が55%程度の実態となっています。

    手術後には、普通は視界が眩しく感じられるようになります。眼内レンズの方が、水晶体よりも光の透過量が多くなるからです。また、水晶体は、その人の意志によって、その焦点をコントロールしてピントを調整出来ますが(遠くでも近くでもピントを合わせて見ることが出来る)、人工レンズではそれが出来ません。単焦点眼内レンズを入れた場合では、近くがよく見えるようなレンズでは、逆に遠くが見えにくく、遠くがよく見えるようなレンズでは、近くが見えにくくなります。多焦点眼内レンズを入れた場合は、遠くも近くもピントが合った状態で見ることが出来ます。ただ、治療費が高額で、保険も適用されません。

    ゴルフ仲間に、白内障の手術を受けた者が、何人かいます。パッティングが手術前と比べて良くなったかというと、そんなに良くなっているようには思えません。
    元々、上手な人は、手術後も上手だし、下手な人は、やっぱり下手です。一方、ショットした後のボールの落ちどころは、しっかりと見えているようです。「球、どこに行きましたか?」、「バンカーに入りましたか?」、「グリーンに載りましたか?」等の、目がよく見えないことから生じる疑問文を、手術後の彼らから聞くことは、ほとんどなくなりました。

    手術を受けた後の旦那の口から出る最初のセリフは、いつも同じです。一つは、「家の中に、こんなにホコリが溜まっていたのか。」です。もう一つは、「お前の顔には、そんなにシワがあったのか。」です。どちらのセリフも、奥様にとっては、何ともキツーイ一発ですね。旦那の目は、はっきり見えるよりは、少し曇っていた方が、何事も恙なくいきそうですね。

    しかし、日常生活において、視力低下で支障が出て来たと思われたら、早目に検診を受け、場合によっては手術を受けることをお勧めします。ただし、くれぐれも手術後の本音のセリフは、奥様には絶対に言わないように、お願い致します。

     チーフアドバイザー(技術)山本茂之

    ※このコラムは2016年9月7日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.120」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。