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第88回「グローバル展開における中小企業の知的財産」

  • 5月の執筆者はチーフアドバイザー(知財)桑原良弘です。

    「グローバル展開における中小企業の知的財産」

    前回、グローバル化が進む中で国内外を見据えた知的財産戦略の構築は、中小企業が生き残るために重要な課題となっている、という趣旨でオープンイノベーションの話題とともに情報提供しました。以前にも増して中小企業は独自の判断で海外の状況を踏まえて、場面に応じて経営者も担当者も最適と考えられる選択が必要となっています。

    このような状況に対応するべく、最近になって経済産業省、特許庁、そして国土交通省も海外戦略までカバーする資料や研修に利用できる教材やハンドブックなどが発行されています。今回は私が注目したハンドブック、教材をご紹介します。

    読者の社内でご活用いただき、経営リスクを防ぐ知的財産戦略の構築に役立ててほしいと思います。

    (1)国土交通省「知的財産を活用した海外展開のためのハンドブック

    ─中堅・中小建設企業のビジネスモデルの構築を支援します─」

    建設企業の海外展開を推進するにあたっては、各社の技術に関する知的財産の保護と活用の双方の観点からの取組が重要。特に、建設業は模倣等の侵害の発見や証明が難しいことや知的財産を活用した海外展開に至っては、権利化された技術の自社による施工・活用や、他社に実施許諾することによるライセンス収入等、適切なビジネスモデルの選定と構築が重要として、知財に関する注意事項やビジネスモデルの考え方のポイントを、企業の具体的な取組事例を紹介しています。

    <ハンドブックの構成>

    1.中堅・中小建設企業の知的財産を活用した海外展開に向けて
      ・海外における知的財産権の取得、想定される知的財産リスクとその対応策 等

    2.建設業の知的財産活用事例

    3.中堅・中小建設企業の知的財産を活用した海外展開への支援事業
      ・海外展開に関する支援、知的財産の海外展開に関する支援 等
     【以上、国土交通省ホームページより】

    国内の建設需要は旺盛なものがありますが、中小企業が独自の技術で海外展開を図ることで、新たな収益が図れるものと思います。海外は規格や基準などが違いますが、世界的にみても日本は超ハイレベルと言え、その技術を世界で貢献できれば素晴らしいと思います。

    なお、ハンドブックは以下のホームページからダウンロードできます。

    ※詳細はhttp://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000416.htmlを参照。(新規ウィンドウに表示)

    (2)特許庁「グローバル知的財産・標準化戦略に関するケース教材」

    海外の先進的企業の経営戦略は「市場の創出」と「シェア・収益の獲得」を両立させるオープン&クローズ戦略が主流となる中、我が国企業が新産業の形成を主導し、グローバルな競争力を高めていくためには、ビジネスモデルの構築において知的財産や標準化を効果的に活用していく必要がある。そこで、知的財産を経営戦略に活用できる人材の育成を目的にグローバルな知的財産・標準化戦略をテーマとした教材を開発、少人数グループによるディスカッションを行うケースメソッド形式想定し、研修等で利用するものとのことです。
    【以上、特許庁ホームページより】

    当方も検証研修を視察しておりますが、中堅クラス以上の企業において重要な知財経営思考をするために参考になる研修で、教材を自社で活用することで大いに役立つものと思います。活用には特許庁への申請が必要なようですので以下のホームページを参照してください。

    ※詳細はhttps://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/teaching_case.htmを参照。(新規ウィンドウに表示)

    (3)九州経済産業局 「マンガでわかる!『転ばぬ先の知財』のススメ」
    ─創業予定者必見!これを読めば知的財産のリスクや必要性がわかる!─ として、

    企業活動に潜む知的財産のリスクや知的財産に取り組むメリットを平易に理解してもらうために、マンガ形式によるガイドブックを制作した。知的財産に関する“理解の不足”、“不測の事態”という二つの“ふそく”が少しでもなくなれば幸い、として紹介されています。
    【以上、九州経済産業局ホームページより】

    手段はいろいろな形がありますが、知的財産がとっつきやすく理解が深められる資料として大いに参考にしてほしい。以下のホームページからダウンロードできます。

    ※詳細はhttp://www.kyushu.meti.go.jp/press/1603/160331_1.htmlを参照。(新規ウィンドウに表示)

    (4)経済産業省 「秘密情報の保護ハンドブック─企業価値向上に向けて─」

    最近では、特許要件を満たすと思われる発明でも敢えて秘密とする企業も増え、秘密情報は、ひとたび漏えいが起こると、研究開発投資の回収機会を失ったり、社会的な信用の低下により顧客を失ったりと、甚大な損失を被る。秘密情報の保護強化は喫緊の課題となっている。営業秘密として法的保護を受けられる水準を越え、秘密情報の漏えいを未然に防止するための様々な対策をまとめた、としている。
     

    【本ハンドブックで紹介している主な内容】

    <自社の秘密情報の漏えい対策>

    <他社から意図せず訴えられないために>

    <もしも情報漏えいが発生した時の対応>

    【以上、経済産業省ホームページより】

    工業所有権だけでなくノウハウを守るための営業秘密の確保は近年では特に重要であるといえます。このハンドブックを手元に、社員一人一人が秘密保持の意識を高め、企業内での体制整備に役立つことを願っています。

    なお、ハンドブックは以下のホームページからダウンロードできます。

    ※詳細はhttp://www.meti.go.jp/press/2015/02/20160208003/20160208003.htmlを参照。(新規ウィンドウに表示)

    5)中国経済産業局 知財WEBセミナー『もうけの花道』─知財戦略のススメ─

    動画を使った知財WEBセミナーとして定評のあるもうけの花道でも、リスク対応ごとのカリキュラムの編集を進め、この度カリキュラムを明確にしました。
    これにより、閲覧者が例えば、展示会に出るときの抑えるべきポイントや必要な準備などを関連するいくつかの映像を体系立てて見れるようにしている。今後教材として活用しやすくする改良が予定されており、引き続き商工会議所や知財総合支援窓口などのある支援機関などで、中小企業向けにカリキュラムの活用を図ってもらいたいと思います。

    【カリキュラム構成】

    1.知財戦略の基礎知的財産戦略の基本を学ぶ。
    1-1 基本的な知的財産戦略
    1-2 中小企業の知的財産戦略事例
    1-3 商標登録(ブランド)の活用
    2.事業リスクを避けるには
    2-1 開発現場での思い違いを防ぐ
    2-2 商標についての注意点
     

    ホームページは以下です。

    ※詳細はhttp://www.chugoku.meti.go.jp/ip/seminar.html#semioneを参照。(新規ウィンドウに表示)

    世界的規模でのビジネスの広がりと他社との共同・連携による新事業新商品開発。
    それはすべて軸に知的財産権、知的資産の確保と活用が必要とされています。
    ビジネスは知財と共に。

    チーフアドバイザー(知財) 桑原 良弘

    ※このコラムは2016年5月11日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.116」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。