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第69回「気候変動に思うこと」

  • 10月の執筆者は、チーフアドバイザー(モノづくり)大村卓一です。

    「気候変動に思うこと」

    この記事の締め切り直前に国連気候変動首脳会合「気候変動サミット」が開催され、藩基文・国連総長が「我々は話し合いに来たのではない。歴史を作りに来たのだ」と開会宣言をされたというニュースが伝えられていた。京都議定書の第2期としての新しい枠組みを主導する側に立とうと、第1期に参加しなかった2大温室効果ガス排出国である米国と中国は積極的な姿勢を示しているようだ。日本は電源の配分という基本的な部分に課題を残しており積極案が出しにくい状況にある。

     

    第1期の結果はどうなったのだろうと疑問が膨らんだので調べてみました。日本は温室ガス排出量を1990年比6%削減すると言う約束に対し8.2%削減した、という報告書がこの4月に出ていました。議定書が批准された1997年頃から、省エネ・環境負荷物質・3Rに対する理解と行動が浸透してきたという実感があります。高い目標ではあったのでしょうが日本だったら確実にクリアーできるものと信じていたしその通りになりました。資料を見ながらひとり誇らしい気持ちでいました。しかし、残念ながらこの数値を達成できたのは予測していなかったリーマンショックによる生産縮小と祖先からの贈り物である森林による二酸化炭素の吸収そして環境技術の輸出実績などが大きく寄与していたようです。この約束期間中の総括として産業界の努力が評価されるとともに我々国民のさらなる意識変革が求められていました。

     

    2015‐2020年の第2次約束期間の目標値については、3.11を機に電力事情は激変し、3.11以降の温室効果ガスの排出量が激増しているため国際的に受け入れられる数値を設定できていないというのが実態。気候変動抑制という国際貢献にどうする日本!!

     

    5月末だったと記憶していますが、ある企業が革新的な次世代工場を完成させたという記事がありました。なんと省エネを徹底し年間電力購入量を9割超削減したという。生産性向上で20%、省エネ設備で32%、自家発電で40%の改善を受け持つという内訳だった。「地球持続の技術」(小宮山宏著、岩波新書、2004)で示されている“持続可能な社会の実現に向けたビジョン2050(エネルギー利用効率を3倍に、物質循環システムを構築し、自然エネルギーの利用率を2倍にする)”を先取りしたような対策に感心させられました。電力業界、モノづくり産業界、運輸業界など日本の産業界は必死の対応策を練っているのがよく判る。

     

    一方民間の行動はどうなのかと、我が家を眺めてみた。エネルギー利用効率の良い家電商品への買い替え、3Rを意識したごみの分別、太陽光発電の導入などの対策は取ってきてはいる。しかし、改善を継続的に持続させてゆくという点では企業の意識・行動に及んでいないと思います。意識変革が不可欠であることを改めて感じました。

     

    日本でも50年に1度の災害が想定されるときに発令される特別気象警報が毎年発生し、実際に大きな被害を被っている。人類共通の課題にそれぞれの立場で少しずつの我慢を受け持ちこれから生まれてくる子孫も我々が味わった自然からの恩恵を享受してもらうよう行動してゆきましょう。

     

    参考資料

    環境省ホームページ:日本の温室ガス排出量の算出結果

     

    ものづくり支援チーフアドバイザー 大村卓一 

     

    ※このコラムは2014年10月6日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.097」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。