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第64回「現場の技術伝承」

  • 5月の執筆者は、チーフアドバイザー(知財)桑原良弘です。

     「現場の技術伝承」

    最近の生産現場、サービス現場において異変とも思える事態が生じています。以前から課題とされている働く人の質の変化が顕著になっていることが気にかかります。作業者の高齢化、事業を育成してきた団塊世代の方々の定年退職、ゆとり世代の新入社員、非正規社員・契約社員の増加。働く人の能力格差とともに外国人労働者の拡大など、その要因は多岐にわたる。現場では人の質の変化にうまく対応できず、過去には考えられないようなトラブルが起き、不良品対策やサービスの低下、現場での事故は大きな心配と関心の声を目のあたりにすることが増えています。このような事態に具体的な対策を打てない現場では顧客クレームや最悪は顧客を失うこともあります。現在の厳しい情勢においては企業の存続すら危うくするといえます。

     

    先日訪問した工事部門の中堅社員と話した時に、最近の教育研修は以前のようには行かなくなっているとのこと。一つには遊びの中から危険を学ぶ機会が少ない(少なくなってしまったとも言えますが)新人社員は、こちらが常識と考えていることまで教えないとならない、危険を確認せずに作業を行う、ナイフを使った作業の要領が不器用で思わぬ怪我につながるなど、教育訓練に時間もやり方や道具についても新たな開発が必要となっているとの話でした。また新入社員の教育現場では、説明していることを聞いているようでほとんど頭に残っていない、返事をしない、メモを取らない(話していることがどう重要なのか捉える力が不足しているともいえる)ことが多く、マニュアルにあることや課題はそれなりにできるものの、積極的に多くの情報を得ようとする意識やそこから何を考えていくことが必要か、その姿勢の低さに心配が尽きない。以前の作業標準書などもその記載方法や形式を変えていかなくてはならない状況に変わりつつあるのです。

     

    対策としては、

    1.現在からこれからの現場における作業やサービスを再度分析し、質の低下につながる原因や道具、現象の見直し。

    2.現場の生産・施工管理やサービス対応の改善活動の取組み方の見直し。

    3.人材を育成しスキルや技術・技能伝承に対応する新たな作業標準書やマニュアルの作成検討と現場の強化につながる教育訓練。

    4.業務プロセスの再確認と事業継承につながるプロセスチャートの見直しと活用。などが考えられます。

     

    これは知的財産の活用と見直し、新たな知的財産の構築につながるものだといえます。企業の知的財産は知的財産権のような権利より、培ってきた知的財産そのもののほうが事業にとっては当然ながら重要です。そして、自社の事業・技術・製品・仲間・顧客の利益を守り、顧客を増やすためにも新しい技術伝承対策は有効に働くと考えられます。

     

    私はその対策の一つに動画の活用をあげて、その分析と対策を図る作業標準書の作成を進めていますが、効果は大きなものであると確信しています。本寄稿が技術伝承を考える参考になることを願っております。

     

    ビジネスは知財と共に。

     

    チーフアドバイザー(知財)桑原 良弘

     

    ※このコラムは2014年5月7日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.092」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。