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第61回「ネックウォーマーと使い捨てカイロ」

  • 2月の執筆者は、チーフアドバイザー(技術)山本茂之です。

    「ネックウォーマーと使い捨てカイロ」

    寒い時期のアウトドアライフ、アウトドアスポーツでは、何と言っても「暖かくすること」が一番です。

     

    アウトドアスポーツの中でも、ウェアーに一定の制限があるサッカー、野球等の、ユニフォームを着用して行う競技では、自分の好みのウェアーを選択する余地がありません。ゴルフでは、どんなに寒い時期でも、積雪や凍結がない限り、多くの人が好みのウィンターウェアーでプレーしています。デザインや機能性を考えて、自分好みのウェアーを選ぶのは、一つの楽しみです。

     

    ゴルフメーカーは、スコアに直結するであろうゴルフクラブやゴルフボールの新製品を次々と発売しています。これらに限らず、スコアには間接的にしか影響しないであろう高機能素材で出来た新作ウェアーも、次々と発売して、売上増を目論んでいます。軽くて動きやすく、かつ保温性があり、デザイン的にも新鮮なウィンターウェアーが次々と出てきます。

     

    アウターに限らず、吸湿発熱素材を使ったインナーも、今ではほとんどのプレーヤーが着用して、寒さに対する防御をしています。

     

    意外と盲点なのが、首回りです。大手ゴルフメーカーからは、あまり発売されていません。儲からないからでしょうか。昔からのものならば、マフラーということになりますが、ゴルフのプレーから言えば、両端がブラブラするのは邪魔でしょうがありません。

     

    最近では、ネックウォーマーを付けたゴルファーが多くなってきました。ゴルフをされない方には理解して貰えないでしょうから、他にこれをよく目にする場面としては、冬場の男子高校生の通学途中でしょうか。かなりの高校生が、これを着けています。一般的に言って、高校生は制服しか着ていません。恐らく、校則からして、分厚いオーバーコートを羽織ることが出来ません。せめてもの対策として、首回りをガードして、寒さを凌いでいるようです。

     

    ネックウォーマーは、ディスカウントストアならば数百円(500円以下)で買えます。消耗品感覚です。ネックウォーマーを着用しない時も、手元で嵩張って邪魔になるようなこともありません。ゴルファーに限らず、高校生にもありがたい保温性、伸縮性、速乾性、軽量性等を備えるこのようなネックウォーマーは、フリース生地で出来ています。

     

    フリースの元々の意味は、羊一頭から刈り取った一繋がりの羊毛のことですが、ネックウォーマーのフリース生地はそんな高価なものではありません。生地の素材は、ズボン等の素材としてよく使われているポリエステルの一種であるポリエチレン・テレフタラート、つまりPET(ペット)です。繊維を起毛処理することによって、繊維の間に空気を溜め込むことが出来るようになっているのがポイントです。この空気を溜め込む空間があることによって、保温効果、速乾効果が出てきます。

     

    生地の材料は同じPETでも、繊維の太さを細くしたり、長さを長くしたりしたものがあります。それぞれ、マイクロフリース、ボアと言われるものです。一段のフワフワ感があります。

     

    ネックウォーマーは、言ってみれば内部発電した体温を、外に逃げにくくする装置のようなものです。これに対して、体温以外の外部的な熱を利用して、携帯的に身に着けて冬場のスポーツでの寒さを凌ぐものが、使い捨てカイロです。

     

    使い捨てカイロは、日本では1978年に販売開始されました。アメリカ陸軍のフットウォーマーをヒントに、開発されたと言われています。今では、冬場の定番商品になっています。

     

    使い捨てカイロは、外袋、内袋、内袋に入った中身で構成されています。中身として、鉄粉、活性炭、保水剤が入っています。使い捨てカイロが発熱するのは、鉄が水及び空気中の酸素と反応して水酸化第二鉄になる時の化学反応熱によるものです。水は保水剤、具体的には園芸等で使われている保水土のバーミキュライトに含まれています。外袋を破ると、空気(酸素)が、不織布で出来ている内袋を通り抜けて中身のところまで入ってきて、活性炭に吸着されます。この活性炭は、その付近の酸素濃度を高める働きをしています。このように、鉄粉と水に酸素が加わることによって、緩やかな酸化反応が安定して続き、結果として80℃以下の発熱が十数時間持続されます。

     

    使い捨てカイロには、「貼らないカイロ」と「貼るカイロ」の二つのタイプがあります。16社が加盟している日本カイロ工業会によれば、平成24年度シーズンの1年間で、合せて18億4287万枚の販売実績があったと説明されています。他に、「足もと用カイロ」と「海外販売量」が別枠で集計されており、これらを含めれば、「使い捨てカイロ」は20億311万枚の実績でした。20億枚と覚えておけば、何かの役に立つでしょう。

     

    ゴルフの場合には、主に腰回りに「貼るカイロ」を付けた人、ズボンのポケットに「貼らないカイロ」を入れている人、この両方を行っている人がいるようです。

     

    寒い時はボールが飛ばない、と言われています。自分自身も、体験的にそう感じます。飛ばないのは、寒さによる身体の可動性の低下が大きい理由と思われます。そのために、「貼るカイロ」や「貼らないカイロ」の使用は、大きな効果があると思います。

     

    その他にも、ボール素材(ゴム、高分子化合物)が、寒くなると硬くなってツブレにくくなることにより、飛ばないことに繋がりそうです。そのために、ボールを温めればよいではないか、ということで、「貼らないカイロ」を使ってボールを温める人がいます。しかし、これをあからさまにやってしまうと、ゴルフ規則(規則14-3・人工の機器と異常な携帯品、携帯品の異常な使用)に抵触することになり、競技失格となってしまいます。しかし、「貼らないカイロ」を、ズボンのポケットに密かに忍ばせてボールを温めるのは、他の人にはわかりにくいですね。

     

    この規則違反の温めが可能なのは、ティーショットの時だけです。2打目以降は、ボールは冷たい芝の上なので、温めることは出来ません。それに、ティーショットの前に温めるとは言っても、ホールアウトしてからの短い時間しかないので、これまた温め効果はほとんど期待できません。それよりは、元々が柔らかめのボールを使う方が、ボールがツブレて飛ぶはずです。

     

    また、寒くなると空気抵抗が増えて(ボールの後ろ側に出来るカルマン渦の剥離による圧力差の増大)、飛ばないことに繋がります。温度にもよりますが、数%〜十数%の増があると言われています。この解消は、使い捨てカイロでは如何ともしがたいことです。

     

    結局のところ、冬場の寒い時期のゴルフでは、いつもよりは柔らかいボールを使い、使い捨てカイロで体を温めてプレーすれば、好スコアに繋がるはず、の理屈が成り立ちそうです。

     

    使い捨てカイロは、ドラッグストア等で、1枚20円前後で販売されています。正に、材料的にも価格的にも、使い捨ての消耗品です。

     

    ネックウォーマーと使い捨てカイロに対して、わずか数百円の投資をするだけで、冬場の快適なゴルフプレーと好スコアが出る可能性、大です。皆さんも、やってみてはいかがですか。

     

    チーフアドバイザー(技術)山本茂之

     

    ※このコラムは2014年2月3日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.089」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。