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第55回「『暗黙知』と『形式知』」

  • 8月の執筆者は、 チーフアドバイザー(モノづくり)桑原 良弘です。

    「 『暗黙知』と『形式知』」

    『暗黙知』とはgoo 辞書によれば、1.主観的で言語化することができない知識。たとえ言語化しても肝要なことを伝えようがない知識のこと。2.社員や技術者が暗黙のうちに有する、長年の経験や勘に基づく知識。

     

    一方、『形式知』とは1.客観的で言語化できる知識。2.言語化・視覚化・数式化・マニュアル化された知識。

    と解説されています。

     

    企業において知的財産は「組織や人材、ネットワーク等の強み」と「ブランド、営業秘密、ノウハウ等の非公開情報」「特許・商標等や著作権といった知的財産権」によって形作られています。知的財産を活用し伝承するため標準化やマニュアル整備する時、数値・数式にして量を示し、視覚(図面から写真や動画…)的に捉え、特に大変なのが、経験や勘をわかりやすい言葉にまとめていくことです。この“暗黙知”を“形式知”に変換し共有化することが重要ですが、なかなか骨の折れる作業です。以前よりKJ法やブレーンストーミングなどにより、アイデアや課題、問題点を抽出し、たくさん出した言葉から必要な言葉にまとめていく過程を経て共通に理解できる形式知としていきます。しかし、すべてを明示して形式知となった知識も、経験しないと身には着かず、そこに書かれていることを本質的に理解できるようにはならない。

     

    当然、マニュアルや作業標準書を作ったからといってそれで伝わるわけではなく、山本五十六の言葉 “やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ”の通り、訓練やコミュニケーションを通して企業という組織の経験をさまざまな言語で表現し人材育成と協調を深めることで社員に浸透していく。企業の知的財産はまさに話し合う、書き残す、その記録を活用することで確立していくものなのだと改めて思うのです。

     

    相手に思いや考え方を共有・共感してもらうには、話すにしても文字で伝えるにしてもわかりやすく効果的に伝える表現方法が必要となります。同じ内容の話を聞いていても。表現や言語を変えて説明を受けたとき「ああ、そうか」と、急速に理解が深まるときがあります。本質的な直感が触発される言語や概念で表現されたことで、自分の暗黙知に響いた瞬間です。本質をぴたりと言い当てた言葉に到達したとき、新たな知識が蓄えられ、また新たな創造へとつながる。今は写真も動画もリアルタイムに送ることができるとはいえ、ポイントはここ!という一言を大切にしたい。社員と組織がともに知識をつくりあげていくことが、企業の知的財産をより強くします。

     

    「暗黙知」と「形式知」は「経験」と「言語」の両方を磨くことで、暗黙知を形式知にぴたりと変換でき有用な知的財産として活用され企業の価値を高めることにつながると考えます。相手の知をさらに触発しあえるときこそ、新たなる知的財産の創造へとつながることでしょう。

    ビジネスは知財と共に。

     

    以上

    チーフアドバイザー(知財)桑原 良弘

     

    ※このコラムは2013年8月7日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.083」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。