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第49回「技術移転と商品開発」

  • 2月の執筆者は、 チーフアドバイザー(知財)桑原良弘です。

     「技術移転と商品開発」

    先日、農業機械に関する相談を受け、その技術開発に向けて農業技術センターへのヒアリングに同行する機会がありました。自然農法を促進する雑草の除去器具に関する技術です。より安全な食材を提供することもますます重要になってくると考える機会となりました。そこで、今回は農業に関する話題です。

     

    東京生まれの私は農業そのものを経験することはなかなかできませんでした。たまたま実家に田んぼを持つ友人がありやってみたくて、田植え、稲刈り、更に餅つきにとお手伝い(実際は役立たずなのですが)をさせてもらったことがあります。その時見た農業機械の能力のすばらしさ。さくさくと農作業が進んでいきます。農業機械のない農作業の労力はいったいどれだけのものなのか、考えているまもなく1反分が終わりました。機械は効率もいいしさぞ儲かる!と思いきや、内訳を聞いてこりゃ大変と思い直しました。

     

    米に関する技術移転には面白い事例があります。「発芽玄米」「γ−アミノ酪酸」「GABAギャバ」と表示された商品を見たことがあるかと思います。GABAは血管を拡張する働きや、腎臓の機能を活発にするなどの機能があり、発芽玄米に多く含まれるものです。このGABAの含有量を富化した食品の製造方法が開発され、関連する特許は多くの企業に移転利用され、いまや市場は年100億円を越えると言われています。

     

    一方、米は日本人の主食でありはるか昔から食べてきたアレルギー反応が非常に少ない食物です。みなさん、病気になると食欲がなくなりますよね。麺類ならば食べられるかな、ということを経験されたこともあろうかと思います。医師に聞いた時の話では、食事を提供する病院や施設はそばや小麦などのアレルギーを心配して、なかなか麺類を出せないそうです。そこに現れたのが「米麺」の特許。米を麺にするのはけっこう難しく様々なところで試行錯誤が繰り返えし、安定した生産ができる米麺の特許は、島根県の農協をはじめ、地域ブランドの活性化につながる付加価値の高い米の新たな展開に一役買っています。この米麺を先の医師に紹介したところ、すぐに検討することになったのは言うまでもありません。米も工夫をすれば新たな食品として喜んでもらえる、必要とされるところがまだまだあるのです。

     

    この2つの特許技術はまさに新事業、新商品を開発するきっかけとなったのです。GABAは国が関係する農林水産系研究所で開発されたものです。このような技術はTLO機関を通して実施許諾を得ることができ、適切な技術指導を受けることも可能です。移転先は大手から小規模企業まで、各地の企業で活用され実際に製品となって販売されています。米麺の販売も進んできており、技術移転を受けた企業はベンチャー企業を設立して新たな展開を図っています。米麺の技術移転を受けた企業はもともと農業に関する事業を進めており、農業の衰退が危惧される中であえてその代表である米をもとに新規事業をはじめているのです。

     

    米を作ることは大変ですし、稼ぐとなるともっと大変。ここでもう一歩前に進めるために新たなビジネスを考えてみましょう。地域でできることからはじめてみましょう。でも、新事業、新商品開発は大変な労力がかかるのも事実です。そこで、解決の糸口として技術移転を考えてみてはいかがでしょうか。容易には浮かばないアイデア。研究開発は頭のいいやつに任せて、そのアイデアを活用することを考えましょう。

     

    いまどきは開発された技術を探索するのは比較的容易です。わからなければお問合せください。技術移転を受けることは良い意味で安直、かっこよく言えばアウトソーシング、ファブレスともいうかな。技術移転という手っ取り早い方法で地域の活性化、米作事業の活性化を検討してみてはいかがでしょうか。

     

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    以上

     

    チーフアドバイザー(知財)桑原 良弘 

     

    ※このコラムは2013年2月6日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.077」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。