トップページ > 経営支援・相談 > コラム「モノ・知・技」 > 第41回「広島東と東広島」

第41回「広島東と東広島」

6月の執筆者は、 チーフアドバイザー(技術) 山本茂之です。

「広島東と東広島」

高速道路をよく利用します。数年前までは東方面を利用することが多く、今は西方面を利用することが多くなりました。私は広島県呉市に住んでいますが、東方面へは、以前は山陽自動車道の西条インターチェンジか河内インターチェンジで乗り降りしていました。今はこの二つのインターチェンジの間に高屋ジャンクションが出来ているので、東方面へは大抵はここを利用します。西方面へはどのICを利用するか悩ましいのですが、経済的、時間的、距離的理由から、大抵は廿日市インターチェンジを使っています。

 
ところで、山陽自動車道の山口県〜岡山県に位置するIC(または一方のインターチェンジが山陽自動車道に繋がっている他の近隣の高速道にあるものも含む)のうちで、地名または自治体名に方角を表す東西南北の付いたものを探すと、以下のものがあることがわかります。「宇部・宇部東・宇部南」、「山口・山口南」、「防府東・防府西」、「徳山東・徳山西」、「広島・広島東・広島北」、「尾道・尾道北」、「福山東・福山西」(岡山県内には該当するインターチェンジなし)。

 
これらに共通して言えることは、地名(または自治体名)が前で、その後ろに方角を表す東西南北が付いているということです。要するに、【地名(または自治体名)】+【方角】のパターン。

 
一方、インターチェンジに限らず、JRや私鉄の駅名にも東西南北の付いたものが見られます。しかし、こちらの方は【方角】+【地名】のように、地名が後ろに付いた逆のパターンがほとんどです。例えば、「広島・西広島」、「尾道・東尾道」、「福山・東福山」、「岩国・西岩国・南岩国」、「萩・東萩」、「岡山・東岡山」、「松江・東松江」、など。

 
インターチェンジ名と駅名で、何故に地名と方角が逆順序のネーミングになっているのでしょうか。

 
たびたびインターチェンジを利用する近隣のドライバーは、インターチェンジ名などほとんど気にもかけていないと思われます。めったに利用しない遠来のドライバーは相当気にしているはずです。通り過ぎてはいけませんから。そんなことはない、そんなことは気にもせず、今はナビの指示に従ってインターチェンジを乗り降りするドライバーが多いから関係ないよ、と言われそうですが・・・。

 
高速で運転しているドライバーはそのような状況の中で、表示板のインターチェンジ名に目を注いでいます。自分の行きたいところは「徳山」。あらかじめロードマップを見て、「徳山東」で降りよう、そのように頭にインプットしているはず。インターチェンジに「徳山」は実在しませんが、キーワードとして「徳山」という地名には意識を集中しているはず。そんな状況で、「東徳山」が出てくると一瞬躊躇します。仮に、「東京都」と出てくると、「東京都(ひがしきょうと)」とは思わずに、「東京都(とうきょうと)」と勘違いする危険だってあります。もちろん、そんなインターチェンジは有りませんので、ご心配なく。このような運転中の一瞬の躊躇が生じないよう、最初に重要な情報である「徳山」という地名をドライバーに読ませて、「徳山」を強くインプットしているものと思われます。

 
ところで、東広島市は1974年4月に、西条町、志和町、高屋町、八本松町の4町が合併して誕生しました。一方、東広島市近隣の山陽自動車道の広島インターチェンジ〜河内インターチェンジの運用開始時期を時系列順に見てみますと、1987年3月に広島東インターチェンジ〜志和インターチェンジ、1988年3月に広島インターチェンジ〜広島東インターチェンジ、1988年7月に志和インターチェンジ〜西条インターチェンジ、1990年11月に西条インターチェンジ〜河内インターチェンジ、の区間がそれぞれ運用開始されています。要するに、東広島市誕生のほうがその中心市街地に隣接する西条インターチェンジ誕生よりも14年ほど早い。しからば、市誕生の後で出来た西条インターチェンジは東広島インターチェンジのネーミングでも良さそうなもの。そうなっていないのは、【地名(または自治体名)】+【方角】の上記の原則に外れるように、一見思えるからでは。

 
河内インターチェンジはインターチェンジが出来た後の編入により、今は東広島市です。仮に、【地名(または自治体名)】+【方角】の原則を適用して、広島IC〜河内インターチェンジのインターチェンジをネーミングすると、現状の広島〜広島東〜志和〜西条〜(高屋ジャンクション)〜河内は、広島〜広島東〜東広島西〜東広島〜(高屋ジャンクション)〜東広島東となり、訳が分からなくなりそうです。これでは一瞬の躊躇により、事故等のトラブルが発生する確率が高い。

 
一方、駅は鉄道における高速道路のインターチェンジのようなもの。でも、行く先の駅までのキップを購入する時は、別に車を高速で走らせながらではなく、ゆっくりとじっくりと考えて購入に専念出来ます。電車を降りる時も、何かの作業に注意を払っている訳ではないので、乗り過ごすこともなさそう。大きな都市名が最初にあろうがなかろうが、じっくりと考える時間が取れるので、キップの買い間違いや、乗り過ごし、等の心配は無用。

 

駅名は【方角】+【地名】で付けられているものがほとんどであることは既に述べたとおりです。方角が最初に付いている駅は、大抵はその方角を除いた元の地名の駅(主要駅)の隣の駅か、または2、3駅離れた近隣に位置する駅です。先に例示した、「広島・西広島(間に1駅、元は別名の己斐駅だったのを改称)」、「尾道・東尾道(隣駅)」、「福山・東福山(隣駅)」、「岩国・西岩国(隣駅)・南岩国(隣駅)」、「萩・東萩(隣駅)」、「岡山・東岡山(間に2駅、後で高島駅と西川原駅が新設されたので隣駅でなくなった)」、「松江・東松江(隣駅)」、などは全てこれに当てはまります。ただし、「萩・東萩」は、東萩を萩、萩を西萩、と言ったほうが実体に近い。

 
要するに、方角の付いた駅名の駅は元の駅(主要駅)のごく近隣(隣駅)に位置するが、方角の付いたお互いのインターチェンジは、距離的に、ある程度離れたところに位置する、ということが言えそうです。


ものごとには例外があるものです。「東広島」駅は在来線の山陽本線には実在しません。実質的には「西条」駅がこれに該当すると言えます。山陽新幹線の「東広島」駅は1988年3月に開業しました。これは東広島市が誕生した1974年4月よりも14年ほど後になります。上記の東広島市近隣の山陽自動車道のインターチェンジが次々と運用開始された時期とほぼ同時期です。在来線に地名(自治体名)を代表する駅名が既に実在する時には、別の場所で新たに開業する新幹線の駅名はそれと区別するために、【(新)】+【(既に実在する駅名)】でネーミングされるのが普通です。在来線に「東広島」駅が実在しなかったので、新幹線の新駅は「新東広島」駅とか、「新西条」駅とはならず、市制がしかれてからの14年間の実績で十分に知られてきた、自治体名の「東広島」駅となったものと思われます。広島駅と東広島駅の両駅間の距離は31.8kmと離れています。新幹線で言えば、東広島駅は広島駅の隣駅になるのですが・・・。

 
インターチェンジ名や駅名に限らず、自治体内にある高校名や警察署名にもこのような例が見られます。この場合は、インターチェンジ名と同様に、【地名(または自治体名)】+【方角】のパターンとなっています。高校や警察署は、複数の高校あるいは複数の警察署が近場にあるということはあまり考えられません。自治体の面的広がりの中に、ある程度の距離を置いて設けられているのが普通です。そのような理由から、インターチェンジ名のネーミングと同じように、○○東高校・○○西高校とか、△△北警察署・△△南警察署のようなネーミングになっているものと思われます。

 
山陽路、山陰路のみならず、全国津々浦々、車や電車を使って旅する時は、是非「広島東と東広島」を思い出しながら、地理、地名の勉強と理解に役立てて頂ければ幸いです。

 


チーフアドバイザー(技術) 山本茂之
 

 

 ※このコラムは2012年6月6日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.069」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。