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第37回「成長戦略と知的財産」

2月の執筆者は、チーフアドバイザー(知財)桑原 良弘です。

「成長戦略と知的財産」

  博報堂生活総合研究所の経済気分2012(2011年11月調査)によると、「来年の世の中の景気」については、男性で「良くなる」が 14.5%、「悪くなる」が45.7%、「どちらともいえない」が 39.8%、女性で「良くなる」が 14.1%、「悪くなる」36.6%、「どちらともいえない」が 49.2%となっています。男女年代別では、年代が上がるにつれ「良くなる」が減り、「悪くなる」が増える傾向にあるとのこと。男性の 40 代、50 代は 5 割前後の人が「悪くなる」と答え、景気に対する厳しい見方が根強いそうです。20 代については男女ともに「良くなる」が「悪くなる」を若干上回り、20 代の声では、景気は厳しそうだが頑張る、ポジティブに暮らす、といった前向きな姿勢も目立ちそうです。

 

今の若い連中は…、という前に、先輩としてこれからどう世の中を成長させていくか、やがては若い人たちに託していくわけですから、悪くなるといった考え方をもとにどうすればよくなっていくか、希望が持てるのか、良き方向性を示していきたいものです。

 

企業経営には将来にわたって成長が見込め、利益をもたらすと想定される分野へ積極的、計画的に対応する成長戦略の策定が必要とされますが、新技術の開発や未開発市場の開拓、他業種との提携などによって、それを実現しようとする活動が伴わなくてはなりません。成長戦略の考え方ではアンゾフが1957年に提唱した製品と市場の二軸から成長戦略を4つに分類した「製品─市場マトリックス」があります。このマトリックスにある4つの象限は、「市場への浸透」「市場の開拓」「製品開発」「多角化」で構成されます。「市場の開拓」とは、新規市場に進出し、新しい顧客を開拓し、既存製品の売上げを成長させる戦略。「製品開発」とは、既存市場において既存顧客に新規製品を提供し、その売上げを成長させる戦略と言われています。

 

知的財産活用の視点から見ると、特に「市場の開拓」や「製品開発」という面で、それを支える技術開発、あるいはブランド構築を図るために知的財産権が重要であることは言うまでもありません。製造業に限らずサービス業も知的財産戦略は重要なものとなります。とはいえ、現在は様々な技術開発が進んでおり、固有の特許を権利化することは容易ではありません。特許が取れた、という特許にも、実は先の発明を利用した特許であったり、より優れた特許技術があり、事業的には活用が制限されることも往々にしてあります。

 

「市場の開拓」や「製品開発」においてこれからの進め方を考える時に、その事業や製品にかかる特許を絞り込んで、少なくとも100〜300件程度は見てみるとおおよその概要が掴め、事業の方向性が見えてきます。事業や製品にかかる技術開発がどのような分類にあり、どんな企業がライバルにいて、どのような開発が行われているか、あるいはどんな商標を持っているか、参入するならばそのポイントはなにかを把握する。次の段階ではもっと深く調査してことは必要でが新たな方策や道筋を見出すために当初から掴んでおきたい情報です。

 

しかしながら、技術情報となる特許明細書は大抵難解ですし、技術の傾向を見ようと思えば膨大な特許情報から関連する特許を検索し、その分析をして戦略を見出すのは大変な作業です。ここにきて、特許検索システムは飛躍的な進化を遂げており、使いやすく整理もしやすくなってきています。そして、特許情報を視覚的に表現していく「特許マップ」作製システムも使いやすく価格も以前よりはリーズナブルになってきているのです。このようなシステムの活用を図ることで他社より優位に事業を進めていけると考えられます。

 

とはいえ特許マップを使いこなすのは大変だと私も思います。そこで、まずは特許明細書のポイントをつかみそこに書かれていることを必要な情報に仕分け、概要の把握からはじめましょう。これだけでも成長戦略を考える時には大いに役立ちます。

 

特許検索システムも特許マップシステムも人間がそれを使いこなしてこそ役立つ道具となるものです。そして導き出された傾向から知的財産を活かすのは事業戦略を構築していく人にあることに変わりはありません。だからこそ言えるのです。

 

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以上


チーフアドバイザー(知財)桑原 良弘

 

※このコラムは2012年2月8日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.065」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。