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第31回「勇気と感動」

8月の執筆者は、チーフアドバイザー(知財)桑原 良弘です。

「勇気と感動」

もう読まれている方々も多いとは思いますが、昨年11月に出版し、第145回直木賞を受賞したビジネス小説「下町ロケット」がおもしろい。

 

作者の仲井戸潤さんは発刊にあたって「ちっぽけな会社の、大それた戦いを応援してくれ!」というメッセージを寄せています。本当に応援したくなる小説なんです。支援機関ではものづくり企業への支援は多い。中小企業は意地と情熱をかけ、それこそ心血を注いで命懸けの技術開発を行い、大企業やライバル企業、海外企業を見据えながら事業を進めています。小説とはいえ、作者の仲井戸氏は元銀行員。財務コンサルをするほどの方なので、実際のビジネスの内情がリアルに表現されています。

 

今まさに日本の中小企業は大企業の内製化や市場の変化からくる取引減少は大きな課題。そこに来る特許訴訟、特許活用、特許製品の事業化…、今まで私が受けてきた相談のうち高度なものはほとんどがこの流れに当てはまるものなのです。そして結果として特許技術を生み出せる力ある企業は特許製品の事業化によってより強く伸展していきます。

 

下町ロケットのあらすじは、主人公はロケット研究者。部品加工会社を経営する親父が死にともなって会社を継ぐ。物語は突然の取引停止、さらに特許侵害の疑いで訴えられるなど、大企業に翻弄され、会社は倒産の危機に陥るところから始まる。主人公の会社は相当の費用をかけてロケットエンジンの基幹部品の特許技術を開発。ここにきて大手企業からその特許を譲って欲しいという申し出がある。そこで特許を盾に社内でも様々な意見が出される。そしてモノづくりにかける経営者、若手社員の奮起そしてプライドと維持をかけたモノづくりのドラマが繰り広げられる。

 

「技術というのは、本来モノを作り続ける中でしか生まれない。それこそ特許で儲けるためだけに技術を開発しようとしても、所詮無理なんです。その点日本のモノ作りの現場が、実は震災以前から痩せつつあることは深刻な問題で、このままでは価格ばかりか技術的競争力すら失いかねない」と池井戸氏は話しています。

 

本書はものづくりに携わるものに対して多くの勇気と感動を与えてくれる。是非お薦めしたい1冊です。

 

権利にかかる検討を進めておくと、他社の動向、他社との連携、侵害・トラブル時の対処、社内の情報共有、PRといろいろなメリットがあるのです。ビジネスは知財と共に。

 

知的財産をわかりやすく学べるホームページ「もうけの花道」をご参照ください。
http://www.mouke.tv/(新規ウィンドウに表示)

 

チーフアドバイザー(知財) 桑原 良弘
  

 

 

※このコラムは2011年8月3日に配信されたメルマガ「広島校だより Vol.058」に掲載されたコラムです。メルマガ「広島校だより」を配信希望の方は、広島校だよりからお申込みください。