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第26回「責任力と判断力」

3月の執筆者は、チーフアドバイザー(技術) 山本 茂之です。

「責任力と判断力」

 最近、雑誌やパンフ資料で、「○○力(りょく、ちから)」という言葉を多く目にします。政治、行政、企業経営等の関連資料で目立ちます。「責任力」、「市民力」、「経営力」、「社員力」、「女子力」など。小説のタイトルでは、「老人力」、「鈍感力」など。目白押し状態です。

 これらの言葉は一見専門語のようにも見えますが、よくよく考えてみると、意味や定義が明確でない曖昧な言葉です。国語辞典にも載っていません。業界など一部の間で喧伝されてはいるものの、まだ広く一般には知れ渡っていない言葉ということになります。言葉が先走りして広まり、何か大きな価値があるかのように受け取られる懸念がある、一種の流行語、いわゆるバズワードです。

 一方、「政治力」、「競争力」、「判断力」などは国語辞典にも掲載されている意味の明確な言葉です。これらの言葉は、辞典を見ずとも、確かに意味をほぼ理解することが出来ます。「○○力」の濫用はカタカナ用語の濫用に似たところがあります。何か新しそうなイメージだけを押しつけて、わかったような気にさせる、そのような常套手段と言って良いかも知れません。

 「○○力」の実体を識別、判断出来る「能力」、「判断力」を身に付けなくてはいけません。

 最近、よく耳にするクラウドコンピューティングもバズワードではないか、という議論があります。「クラウドとは、ネットワーク・コンピューティングを新しい言葉で言い換えたものだ」との指摘や、「既に我々が行っている事で、宣伝文句が変わっただけ」との批判です。

 また、システム構成の観点ではネットワーク・コンピューティング、ソフトウェア提供方法の観点ではSaaS(Software as a Service)、支払い方法の観点ではユーティリティ・コンピューティングやサービス提供事業者を意味するASP(Application Service Provider)などを、ユーザーの視点から見た総称的な用語である、とも言われています。

 一方、大規模ITインフラを活用出来る機会が個人や小さいグループにも開かれたとして、社会変革に繋がるのではないかというポジティブな見方も一部には出てきています。

 その他、健康・食品に関する酸性・アルカリ性食品、自然塩、無添加、マイナスイオンなど、またライフスタイルのロハスなどもバズワードではないか、との指摘があります。技術的側面が強い言葉であれば、「疑似科学」ではないかと言われるものは、ほとんどが該当します。

 俄には信じない、冷静な「判断力」を持つことが大切ですね。

 

チーフアドバイザー(技術)山本茂之